「ったく・・・半年のブランクってやっぱすげーわ。」
レースが終った後、俺はそう言って地面に座り込んだ。
「しょうがないですね。でも野獣の感は戻ってきたんじゃないですか?ラストの追い込み、すごかったですよ。」
隣でドリンクを差し出しながら真波がそう言った。
「やっぱ福ちゃんは速えーなー。」
少し先で新開と笑いながら話す福ちゃんがこのレースの勝者だった。
金城が2位、新開は5位。
俺は・・・多分30位以内には入ってるじゃね?
「荒北、お疲れ。」
「お、金城。お疲れさん。」
そう言って差し出された金城の手を取ると立ち上がる。
「福ちゃんに負けたんだって?」
「ああ・・・後少しだったんだがな。金城には新開がアシストで着いていた。」
「やっぱし?あの鬼の引きに1人じゃ・・・かなわねーわな。」
笑いながらそう言うと
「お前が早く俺を引いてくれ。」
金城も笑いながらそう言った。
「何様だ?おめーは。」
「これからは福富ではなく俺がお前のエースになろうと思ってな。」
そう言って俺の肩に手を置いた。
「言ってくれるじゃん?金城ちゃんよー。」
ちょうど俺のところに来た新開と福ちゃんに
「次は負けねーぞ。」
そう言って金城と肩を組んでみせた。
「強敵だな、新開。」
「でも・・・俺もおめさんには負けないぜ?」
バキューンポーズを俺に向ける新開。
こいつらとのやり取りは落ち着く。
だから・・・
忘れてた。
真波がいた事を。