「君は生きてるんだから。今この時も時間が進んでいる。僕と違って君は・・・前に進まなきゃならない。」
「でも・・・お前がいない。託生、お前がいない人生を俺は・・・。」
俺の言葉にゆっくり首を横に振った。
「僕はずっと待ってるから。君が来る時までずっとギイ、君を・・・。」
待ってる?
「いつか君の命が尽きる時が来る。その時まで僕は君を待ってるから。
だから・・・僕の分も生きて欲しいんだ、ギイ。」
託生の分も生きる・・・。
「僕は・・・ギイを愛してるから。だから・・・ギイには笑っていて欲しいんだ。」
託生はそのまま俺から手を離し背を向けた。
「ギイには赤池君や三洲君のように心から心配してくれる友人もいる。島岡さんのように見守ってくれる人も・・・。だから・・・」
「託生何言ってるんだ?」
「僕はもう行くよ、ギイ。」
一歩足を前に進める託生の手をつかむ。
「行くなよ託生。俺の傍に・・・いてくれよ。」
託生はゆっくり振り返ると俺の手をつかみ
「僕が傍にいたら・・・
ギイがギイじゃなくなっちゃうから。」
俺の手を離すと
「愛してるよ、ギイ。僕はずっとギイを愛してる。そして見てるから。
僕は・・・
いつでも君と一緒だから。」
そのまま俺を抱きしめ・・・
「託生?」
そのまま姿が消えた。