「ただいま。」
「お帰り。」
笑顔で俺を出迎えた託生を抱きしめた。
「どうしたのギイ?体冷えちゃってるよ。」
託生はそう言って俺の背中に手を回す。
「ごめんな、託生。」
そう言った俺に
「・・・中に入ろ?」
託生はそう言った。
部屋のソファーに並んで座り、託生を抱きしめたまま俺は何も言えなかった。
何かを口にしてしまえば・・・
それで終わる事がわかっていたから。
「ねえ、ギイ。」
そんな俺を見かねて口を開いたのは託生で・・・
「僕との生活は・・・楽しかった?」
突然そんなことを聞いてきた。
「ああ・・・楽しいよ。
託生がいてくれるだけで・・・
俺は幸せだ。」
「僕も・・・僕も幸せだったよ。ギイと一緒に過ごした毎日が・・・僕には全てだったんだ。」
そう言って託生は俺の手を離すと立ち上がり俺を見下ろした。
「ギイが幸せそうに笑ってるだけで僕も幸せになれた。ギイが喜んでくれると僕も嬉しかった。
ギイがいるだけで・・・僕は生きてるって感じられたんだ。ギイの愛情に包まれて。」
託生はそのまま俺の頬に手を添え
「だからギイ・・・。
君にはちゃんと生きて欲しいんだ。」
そう言った。
生きる?
それどういう意味だよ、託生。