「知りませんよ。
俺は本当の葉山さんも新さんも知らない。
知ってるのは2人で俺を騙していたことくらいで。」
ドアがノックされ、飲み物とつまみが届けられた。
真行寺は自分でウイスキーをグラスに注ぐとそれを一気に飲み干した。
そうだよな。
お前は何も知らないからそう思うんだ。
でもな・・・
「お前1人が苦しんでたわけじゃない。」
僕は思わずそう言った。
真行寺はその言葉にこっちを見ると
「どういう意味ですか。」
敵対心あらわに僕を見た。
三洲、本当の事を話してやるべきじゃないのか?
僕にはとてもじゃないが真行寺が幸せそうには見えない。
今でもお前との事を胸に秘めたまま、上辺で幸せを演じている、そういう風にしか見えない。
「俺だけが苦しんでたわけじゃないってどういう意味ですか、赤池先輩。」
真行寺がそう言って立ち上がった時・・・
「悪い、待たせたな。」
ギイが部屋に入ってきた。