「じゃあな、葉山。」
「うん、またね、赤池くん。」
マンションの前で葉山と別れて家に向かう途中、空を見上げた。
「ギイ、お前は今どうしてるんだ?」
消息不明のお前を待つ葉山。
笑って毎日過ごしてるが、たまに見せる表情に・・・
「お前が戻らないなら、僕が・・・」
右手につけた腕時計を握りしめ、視線をもとに戻した。
今年の誕生日は僕にとって忘れられない日になるだろう。
だって・・・
初めて葉山を欲しい、そう思った日だから・・・。
「ギイ、今日は赤池くんの日だったんだよ?
僕ね・・・
赤池くんといるとほっとするんだ。
もしね
もしこのまま・・・
ギイが戻って来なかったら・・・
僕ね・・・。」
同じ頃、同じように空を見上げた葉山がそんな事を呟いていたなんて知らないまま。