「待てって福ちゃん。」
直線の続く練習Cコース。
福ちゃんはペダルを緩めることなく進んでいく。
俺はその背中を必死で追いかける事しかできねー・・・。
相変わらず・・・
はえーな福ちゃん。
初めて出たレース、福ちゃんに追いつくのに必死だったあの時を思い出した。
あいつに追いつきたい、あいつに認められたい。
そう思って純粋に走っていた。
福ちゃんのためとかそんな事考えずに・・・。
「ったく・・・はぁ・・はぁ・・・相変わ・・・らずっ・・・はぁ・・・はぁ・・・鬼だな・・・福ちゃん。」
折り返し地点で待っていた福ちゃんにそう言って俺は地面に寝転んだ。
人気のない高台の公園。
誰に目にもつかねえから大の字に手足を広げて・・・。
気持ち・・・いいな。
「乗ってないわりには鈍ってないな、荒北。」
「ったりーめだっつーの。」
誰かさんに散々鍛えられたからな。
目の前に広がる青空は・・・
最初のレースでリタイアしたあの時と同じ色をしてた