「はあ?」
「洋南大で自転車部に入って・・・俺を運んで欲しい。俺がエースになれるかもわからない状況で馬鹿な事を言ってるのはわかってる。」
「わかってんだったらいう。」
「俺はお前の運び屋としての才能は認めている。
福富を勝利に導いたように・・・
俺を運んで欲しい。」
何言ってんだこいつ?
「ばかじゃねーの。」
「そうかもしれないな。」
「お前には仲間がいるだろ。」
別に俺じゃなくたっていいだろうに。
「田所は大学にいったとしても地元の大学に進むそうだ。俺は1人洋南への進学を決めた。
そこで・・・荒北、お前に会えた。」
会えたからなんだってんだよ。
「お前は福富と同じ大学に進むと思っていたから考えてもみなかった事だ。お前と福富は最強のコンビだからな。」
だから、じゃねーよ。
だった、だよ。
「でもお前は福富とは別の大学に進む道を選んだ。しかも俺と同じ大学だ。」
「だからたまたまだって。偶然って奴だろ。しつけーよ。」
「荒北、洋南にはいったら・・・俺をはこんでくれないか?
お前とのコンビで・・・
上を目指したいんだ。」
勝手な事言ってろ。
俺は金城に背を向けた。
「悪いが何度言われても俺はもう乗らねんだよ。じゃあな金城。」
そう言って足を進めようとした俺に
「また来る。俺は諦めない男だ。」
金城はそういい残して帰っていった。
「何が諦めない男だよ。」
わざわざ千葉から何しに来てんだよ、ばっかじゃねーの?
そう思いながら・・・
俺も寮に向かって歩き出した。
どいつもこいつも自転車自転車って・・・。
自転車が・・・・
「なんだって・・・言うんだよ。」