大学のオープンキャンパスというものに参加した。
行っといたほうがいろいろといいぜというクラスメートの言葉を鵜呑みにして。
ったく・・・そんなに来てねーじゃねーか。
そう思いながらぶらぶらしていたら、見覚えのある奴が前から歩いてきた。
「荒北?」
「金城?」
総北のエース、金城。
何でここに?
「はあ?・・・何でお前がここにいるんだよ?」
「俺はこの大学を受験するからな。ここの自転車部に入る事になってる。」
ここにもあるのかよ、自転車部。
「お前こそ・・・なんでここにいるんだ?荒北。」
何でって・・・。
「そりゃお前と一緒だよ。ここを受験するからに決まってんだろ?」
「お前がここを?」
何をそんなに驚いてやがるんだ?
「お前は・・・
福富と同じ大学に行くものと・・・。」
・・・ったくどいつもこいつも・・・
「俺と福ちゃんをセットで考えるの、やめてくれなーい?」
「そうなのか?てっきり大学に行っても福富を運ぶのは荒北だと思っていた。」
俺も思ってたよ。
「新開が同じ大学に行くから問題ないだろ?それに・・・」
ふっと小さく笑って
「俺はもう自転車には乗らねーからな。」
そう答えた。
「乗らない?」
「ああ。乗らねー。もう卒業だ。
大学に入ったらその辺のねーちゃんと仲良く遊んで楽しいキャンパスライフって奴?それをするわけよ。」
それが楽しいかどうかなんてわかんねーけどな。
「福富は知ってるのか?お前がここを受験する事。」
「さあな?福ちゃんとは話してねーし。」
めんどくさー奴とこれ以上話してても何もいい事ねーな。
「じゃあな金城。俺行くわ。」
そう言ってその場を後にした。