「え?」
カップルでにぎわう喫茶店の奥の座席。
俺の言葉に驚いた顔で真行寺がそう言った。
「聞こえなかったのか?」
俺はコーヒーを口にすると
「別れるといったんだ。」
再度同じ言葉を口にした。
「な・・・何の冗談っすか?
い・・・いやだな、新さん。
そんな真剣な顔で・・・。」
「冗談だと思ってるのか?」
そう言って真行寺を見ると慌てて俯いた。
「何でっすか・・・。この前あった時、4月からは引っ越して一緒に住もうって言ってたじゃないですか。物件もめぼしい所探しておいたって。」
「ああ・・・言った。」
「先週電話した時だって・・・
次に会えるの楽しみにしてるって・・・
何処に行くか考えとけよって・・・
そう言ってたじゃないっすか。」
顔を上げずに話す真行寺。
「なのに・・・なのになんで・・・なんで急に・・・」
そう言って勢いよく顔を上げると
「そんな事言うんっすか。」
睨みつけるように俺を見てそう言った。