「雅彦さん。1人で歩かないで下さい。寄彦に怒られますから。」
ギイ王子がそう言って走ってくる。
「だって・・・王様に謁見とかめんどくさいだろ?よりちゃんがやってるんだからいいじゃん。」
「いいじゃんじゃないだろ。次期国王になる方がそんな事・・・。」
国王?
「あ、たくみ。この人は隣の国の王子の雅彦さんだ。」
「たくみくんって言うんだ。よろしくね、たくみくん。」
託生の手を取るとぶんぶんと上下に振る雅彦に・・・
( そっか、この人が僕の運命の人なんだ。 )
託生はいきなり雅彦の唇をうばった。
それを目の前で見て固まったギイ王子。
「うわー。たくみくんって積極的だね。」
唇が離れるとそう言って笑った雅彦。
「僕、あなたの事好きです。え?」
突然声が出て驚いたのは託生とギイ。
「え?僕?僕なの?」
別の意味で驚く雅彦に大きく頷く託生。
「はい。あなたです。」
小さな声でそう話すと、
「じゃあ僕と君は恋人同士だね。僕も一目惚れしたからー。」
雅彦はそう言って手をつないで託生と歩き出した。
「ギイ王子。いろいろありがとうございました。」
託生はそう言って手を振る。
「ギイ。たくみを紹介してくれてありがとう。」
雅彦もそう言って2人は笑顔でその場を後にした。
こうして・・・
人間になった託生は雅彦王子と末永く幸せに暮らしました。
おしまい?