「真行寺、話す気になったのか?」
病院を出て近くの居酒屋。
個室を借りて俺は向かい合って座る真行寺を黙ってみていた。
竹森の言葉の意味。
何度真行寺に聞いても真行寺は何も答えなかった。
何もない、隠し事なんてないです。
俯いたままそうしか言わない真行寺。
こいつは隠し事の出来ない奴だから・・・行動や表情に出てるんだけどな。
「本当に何も隠してないです。」
普段はあれだけなんでも話すくせにどうしてそう・・・。
「このままお前が何も話さずにいて・・・葉山に何かあったら・・・。」
葉山の名前に真行寺の肩がびくっと上に上がった。
「お前は責任とれるのか?」
ゆっくりとあげた顔。
その表情は何かに怯えるようで・・・
いったい何があったんだ、そう思わずにはいられなかった。
「お前と葉山、2人だけの秘密があることをとがめるつもりもなければ、問い詰めるつもりもない。ただ・・・。」
そう言って俺は目の前にあるビールを飲み干すと
「そこに竹森や崎が係わってくるなら別だ。」
真行寺の目を見てそう言った。