猫と暮らしているみなさんも、暮らしていないみなさんも、おはようございます( ´ ▽ ` )ノ
3週間あまり、ずっとクロピとわたしを応援して下さり、ありがとうございます。
この連載記事もそろそろ大詰め、やっとラストが近づいて参りました。
というか、ラストが遠のくのは嫌。゚(゚´ω`゚)゚。
2度目の抗生剤(コンベニア)注射を終えたクロピ。
通院した日は復活して、夜になると容体は前より更に悪くなるというのをくりかえしていた。
病院から帰ってくると、クロピはリラックスしていた。
トイレ通いはまあまあ落ち着いた。
ご飯も帰宅後3時間で食べることができた。
だけど、今までみたいにハイテンションで遊んだりはしない。
胃腸炎が悪化しているから。
18:30、トイレから戻ってきたクロピにパウチを見せたら「たべる!」と鳴く。
無一物の鶏胸肉20g+お水大さじ2杯を与える。
久々に聞く大きな歓喜の声。
尻尾が50度の角度まで上がった。
昨日は45度、少しは元気が出てきたようだ。
1/4食べて気持ち悪くなったらしい。
そのあと窓際のお水の前でお座りしているので、交換するとおいしそうに飲んだ。
21:30、「やわらかいのたべたい!」と要求鳴き。
鶏の胸肉の残りを同様に与える。
喜び勇んで食べるが、半分もいかない。今はそれでいい。食べ過ぎると吐き気がするだろう。
22:30、胸肉パウチの残りを食べる。器を下げる。
23:00、トレイに何もないのに何か食べている気配がする。
向き直るとクロピは、トレイの横で未消化の胸肉を吐き出して、それを食べていた。
以前からクロピには吐き戻した物を食べる癖がある。
「吐いちゃったかー。これはやめとこうね」と素早く撤去。
[所見]今日は全く甘えてこない。
病院へいく前はトイレ通いで忙しいのとグッタリしてるのとで、帰宅後は疲れからかほとんどコタツにこもっている。
覗くと「クルゥ」と鳴くので、やはり甘える余裕がなさそうだ。
キッチンへいくとついてきて要求鳴きをする。吐いても食欲があるのはスゴイ。スゴイが少し時間を置いた方がいい。
日付けが変わった。
もうすぐ輸液や栄養剤・制吐剤を投与して12時間経つ。
ここで下手を打ちたくはない。
先生も「今後も同様の事態が予想される」とおっしゃっていた。
さっき出したドライフードを少し残して、クロピは近くでお座りして粘っている。さあ、どうする?
「カリカリ食べたし、もう少し待った方がいいよ。待っとこ。ね?」
クロピは「たべるー」と抵抗したが、3分後にはコタツに入った。
2:00、また要求鳴きされる。
先月から気に入っている いなばのジューシーかつお20g+お水大さじ2杯を与える。
すこし食べて舌をペロペロしている。まだ気持ち悪いようなので下げる。
2:30、トイレへ。「プス、パスッ」と破裂音がする。下痢してるー!
下痢便ふまれる前にトイレ掃除。
泥状の下痢便が奥から出てきた。量が多い。
コタツに戻る。
あれからずっとクロピはコタツにいる。
少しして覗くと眠っていた。
[所見]病院から戻っても今回はテンション低めだった。その分、夜は静かな体調不良ぶりを見せている。フードの嘔吐と下痢、そのあとのガス(破裂音)。
翌日の朝6:50、そっと覗くと「クルゥ?」と小さな鳴き声が聞こえた。眠っていなかったのか。
7:00、コタツから出てトイレに通う。お座りしてご飯を待つ。
昨夜のいなばのジューシーかつおの残り20gを与える。すぐには食べない。器を手に持ってやると食べ始める。気持ち悪そうに口の周りをペロペロする。
「かたいのもたべる」と、お座りしている。しかし器を出しても食べない。昨日と全然違う。
お水を交換して目の前に持ってきても飲まない。
昨夜最後にお水を飲んだのを見たのはいつだろう。書いていないということはリビングにいないときに飲んだのか、2:00に飲んだか……。
7:30、トイレ掃除。2cm級が11個。
ゴミを捨てて戻ってくると、まだトイレに通っていた。
8:30、トイレ掃除。2cm級が16個。ペースが早い。なのにお水を飲んでいない。
すぐにお水を交換して、座椅子にいたクロピに差し出した。まあまあ飲んでくれた。でも気持ち悪そうだ。
10:00、病院に電話。「吐いた」と言うと、「今日中にいらして下さい」と言われた。
なぜ今回は9:00にすぐ電話しなかったのか自分でもわからない。
クロピより重症の患者を見てしまったからかもしれない。
原因となったフードは二度と与えないし
、これまで与えてきた同じメーカーのフードも今後は与えないことにした。
自分を責めてもクロピは回復しない。
後悔に浸っている暇があれば、今後の対応策を考えた方がいい。
わかってるけど…わかっているけど…
着替えながら私は涙が止まらなくなっていた。
クロピはコタツの中にいる。
それでも気配で察してしまうだろう。
自分の嗚咽をかき消すために、スマホであのナンバーをかけた。
10年前にも聴いて泣いた水樹奈々の「Pray」を。
私はクロピを守る盾になりたかった。
その盾は連日の睡眠不足や食事を飛ばしたせいで、とっくにひび割れていた。
そのうえ内側からクロピに向かって毒を振りまいていた!
守れていないじゃないか。
逆に苦しめてるじゃないか。
大事なクロピを、愛するクロピを。
泣きやむのに時間がかかり、病院につくのが遅くなってしまった。
この日は診察の前に先生の問診があった。昨日吐くまでの食事について細かく訊かれた。
吐いたと思った鶏の胸肉は、嘔吐ではなかった。
先生曰く、「猫は食べ過ぎたときに一度吐き出して、胃液の混じったものを食べて消化しようとします。そういう吐き方をしたときは、取り上げずに器に入れてあげてください。トレイの端に置いてあげてもかまいません。
お母さん猫は離乳した子猫に、同じことをしているんですよ。
人間から見ると不衛生なので取り上げてしまいがちですが、それをすると食べやすい状態になったフードと、そのために使われた胃液の両方を失うので、猫にとっては残念ながら迷惑になってしまいましたね」
そういえば、昔からクロピは吐き戻したフードを食べるところがあった。
そのたびに取り除いて掃除していた。
本猫は不服そうに鳴いていた。
昨夜も同じ、盛んに取り上げた胸肉を見て鳴いていた。
また、先生はこうも言っておられた。
「犬は他の健康な犬の糞を、食糞して腸内環境を整えることができます」
そこから話は人間の衛生観念と猫の生態、腸内環境の整え方と変わっていった。
先生とお話している間に、私の心は穏やかになっていった。
先生は見抜いておられたのだと思う。
愛猫の病気の原因が、自分の与えたフードにあったとわかり、自責の念でいっぱいになった飼い主の気持ちを。
実際に前日「この子に申し訳ないです」と、蒼白な顔で私は先生に言っていた。
いたずらに自分を責めず、愛猫の回復のサポートに専念してもらうには、飼い主を落ち着かせなければならない。
そのためには何か誤解があれば解き、安心できる材料を用意して、明るく前向きに愛猫とその病気に向かえるようにしなくては、と。
先生は20年以上、飼い主が悔やんだり自分を責めて泣いたりするのを見てこられたのだろう。
飼い主を立ち直らせる話題も、あながち関係のない話ではないし、態度もごく自然なものだった。
そして、クロピにはしばらくの間、食べ慣れたフードを与えて、ウェットフード中心の食生活にすることになった。
最後に、胃腸炎の直接的な原因となった試供品の残りを先生に提出した。中身は1/4残っている。
このフードは独自に検査するそうだ。
この日クロピが受けたのは、制吐剤と栄養剤の注射2本と、輸液250ml。
昨日と同じものだった。
帰宅したクロピは、午後はあまり寝なかった。トイレ通いとご飯を食べるのに忙しくて。
おしっこは1回あたり4cm級でそれなりの量があり、残尿感もなさそうだ。
あの切ない鳴き声を上げなくなった。
14:00、ミャウミャウ・おさかなミックス(総合栄養食)1/3パウチを与える。尻尾を80度まで上げられるようになり、喜んで食べる。
ドライフードはミャウミャウ(シニア猫用まぐろ味)8g。こっちも食べる。
14:30、換気。ベランダのパトロール。今日は雲ひとつないいい天気。
並んで一緒にひなたぼっこした。
この日当たりのいいマンションを選んだのは、かかりつけの動物病院がすぐ近くにあったからだった。
何かあればすぐに行けるようにと。
こうして連日、もしくは3日と空けずに通院していると、この部屋に引っ越して本当に良かったと思う。
引っ越して3ヶ月後、クロピとベランダに出ていると大きな虹が出ていた。
ちょうど来ていたペットシッターのSちゃんを呼んで、生まれて初めて見た二重の虹に大騒ぎしたのをよく覚えている。
クロピを抱き上げて見せようとしたけど、クロピは空を見上げなかった。
それでも私たち3人が、あのとき二重の虹の下にいたことに変わりはない。
二重の虹は、シニア猫として新たな町で暮らし始めたクロピを祝福していた。
あの虹を見たときの希望に満ちた思いを、忘れないようにしよう。
