仔猫とカラスと私・後編 | 猫と占いの小部屋

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こちらでは主に我が家の黒猫クロピのこと、たまに音楽や小説について書いていきます(ФωФ)ノ
私の専門占術はタロット・西洋占星術・四柱推命ですが、あまり占術については書かないかもしれません。

猫と暮らしているみなさんも、暮らしていないみなさんもこんばんは〜( ´ ▽ ` )ノ
後半は少しホラータッチかも…


数年前のある朝、私がゴミを出しにいくと、向こうからTNR活動をしているマダムが走ってきた。


「仔猫を見かけたから保護しようとしたけど逃げられちゃって。あそこはよく猫が捨てられる所でね。それにカラスに狙われてるのよ!でも、私、お店開けないといけないから」
と、挨拶もそこそこにマダムは早口で言った。
「わかりました。私が行きます。仔猫はどのあたりにいました?」
「隣の中学校の敷地前」


(マダムに関する記事はこちらです)


私はスニーカーに履き替え、マダムが告げた場所へ急いだ。あたりを見回し耳を澄ませる。
仔猫の鳴き声が聞こえた!


その鳴き声をたよりに進むと、垣根のかげにキジトラ白の仔猫を発見。月齢2ヶ月にもなっていない。まだ瞳が青かった。
「おいで」
と、手を伸ばすと仔猫は逃げてしまった。学校の裏門(?)の下をくぐり敷地内へ。


その日は祝日で、閉ざされていた門の高さは約2メートル。
「不審者ではありません」と呟きながら門をよじ登り、飛び降りた頃には仔猫は外階段を上っていく。


なんの階段かわからないまま仔猫を追う私。
上り終えるとそこはプールだった。仔猫の姿は見当たらない。


「カァ」
カラスの鳴き声が聞こえた。
すぐそばの電線にとまっている。3羽。


仔猫はプールの北東のすみにうずくまって震えていた。
「もう大丈夫よ、いい子ね。おいで」



「カァカァ」
どんどんその鳴き声は増えてくる。


抱き上げられた仔猫は私の手をカリカリと引っかき、不安げに空を見上げては震える。
よしよしと撫でていた私は、つられるように電線を見上げて凍りついた。


















「カァカァカァカァ!」
いつの間にかカラスがビッシリととまっていた。10羽以上のカラスがプールに沿うようにとまって、こちらを見下ろしている。




なんでなんで?この子生きてるんですけど?
カラスは屍肉の掃除屋でしょ。
この仔猫は生きてるのに、どうして集まってきているの?!






「カァカァカァカァカァカァ!!」
新たに一羽やってきて、カラスたちの鳴き声は激しくなった。黒い翼で羽ばたいているがその場を動かない。


「ダメ!こっちに来ないで」
そうカラスたちに言い放ち、私はパーカーの胸元に仔猫を隠すように抱いた。きた時と同じように急いでその場を去る。振り返るとカラスたちは解散しつつあった。
マダムのお店にそのまま直行し、経緯を報告する。


「良かったわ、この子が助かって。ありがとう」
「あの、カラスって生きてる仔猫も狙うんですか?」
「そうよ。生まれて間もない子ほど狙われやすいわ。ほら、手、だしてごらんなさい。猫ちゃんに引っかかれたらすぐに消毒しないと腫れるわよ」


手当をしてもらいながら、私は茫然としていた。
あのカラスたちは本気でこの仔猫を生きたまま食べようとしていたのか……。


カラスは人間に山を追われて都市部に下った。
野良猫が増えた原因も人間が作っている。


しかし、怪我をしたカラスや巣から落ちたカラスの雛を助ける人々がいるように、親からはぐれたり捨てられた仔猫を助ける人々もいる。


みんなこの街で生きているんだ。


キジトラ白の仔猫は2ヶ月後に里親が決まり、同じ町内で今でも元気に暮らしているそうです。


追記:その後、クロピに『よそのネコのにおいがする』と嗅ぎまくられ、不審者を見る目付きで見つめられました(;・∀・)


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当時のキジトラの仔猫のそっくりさんです。画像はこちらからお借りしました。