Ceriatone Yeti 50W

Marshall のプレキシに Jose Arredondo(ホセ・アルダンド) というエンジニアが手がけた改造を施した、いわゆるホット・ロッド版をモデルにした、『Ceriatone HRP シリーズ』のラインナップの一つです。
ホセ氏は、ヴァンヘイレンをはじめとした多くの80年代のハードロック・ギタリストのアンプを手がけていた事で有名なエンジニアとのこと。
ケースからアンプ本体を取り出してみました。

左から、電源ランプ、電源スイッチ、スタンバイスイッチ
レゾナンス/プレゼンス/ベース/ミドル/トレブル/マスターボリューム/ゲイン2/ゲイン1
というレイアウト。
プリ管に 12AX7 が3本、パワー管に EL34 が2本のポピュラーな構成です。

凄く丁寧なつくり。配線もシャシーを這うように整理され、シールド効果もちゃんとありそう。

チューブアンプは仕組みをある程度理解しておくと、音作りも楽しさが増しますね(笑)
初段と2段のそれぞれにゲインコントロールがあります。

ゲイン1は比較的高音、ゲイン2は厚みのある低音のある歪みがそれぞれ得られます。
ゲイン1はプッシュ/プルになっていて、プルするとビンテージ系の歪みが、プッシュではハイゲイン的な音になります。
3つのトグルスイッチは全て3WAYです。
左のERAスイッチは、アンプのキャラクターが変化します。
マニュアルによると、左に倒すと80年代、真ん中ではプレキシ、右に倒すとモダンになるとあります。
ゲイン1のプッシュ/プルとの組み合わせで、様々なトーンに変化します。
とはいえ、どうイジってもマーシャルサウンドですが(笑)
ブライト1/ブライト2のスイッチは、それぞれのゲインに異なる高域のキャラクターを加え、ギターに合ったサウンドを作り易くしてくれます。
アンプの裏側にあるその名も "プッシー・トリマー"!
初段で増幅された出力を、2段目に”突っ込む”度合いを調整できるものです。

ゲイン2 を上げると低音が増し厚みが得られますが、ギターによっては欲しい厚みに達する前に丸くて品のない低音になってしまう場合があります。
プッシー・トリマーで、2段目の入力を多少絞って ゲイン2 をあげると、骨のある低音になったりします。
はじめは常時フルでいいかなぁと思ったのですが、使ってるうちに結構面白いパラメーターだと思えてきました。
PPIMV とステッカーされているのは、もう一つのマスターボリュームです。
"Post Phase Inverter Master Volume" の略で PPIMV と呼ばれているようです。

このマスターボリュームはかなりの優れもので、音量を下げても音ヌケが悪くなったりしません。
音量を下げると流石に音圧はなくなりますが、音質が変化せず音量だけ変わるといった感じです。
部屋で使う最大音量をPPIMVで設定し、微調整はフロントのマスターボリュームという使い方をしてます。
自宅で50Wアンプが不満の無いサウンドで使えます。
部屋でもスタジオでもライブでも、同じアンプを使えるのはかなり嬉しい!
PPIMV の正体はこんなカンジ。

本来 Yeti には PPIMV は無いのですが、注文時につけるようお願いしました。
増設費用は、ほんの数千円!
色々なカスタマイズに応じてくれて費用が安いのも、Ceriatone の魅力ですね。
パワー管のバイアス調整時にテスターが使える端子があります。

これがあれば、自分でも簡単にバイアス調整できそうです(笑)
これ一台で多彩なマーシャルサウンドを楽しめます。
ややこしそうに思えますが、それぞれのパラメータはクセが無く、使いやすいものです。
とはいえ、まだまだ奥は深そうで、じっくり使ってアンプの理解を深めようと思います。
持ち運びは楽ではありません(笑)
でも、ビンテージからモダンまでのマーシャルサウンドを、家で、スタジオで、ライブで、場所を選ばず使えるのはもの凄く魅力です。
ノイズも少なく、エフェクトループも実用的なレベルです。
勿体なく思いながらも JMP 1987 は手放してしまいました。。。