またも大雪が降りましたね。
大学入試のまっただ中、受験生の方々は大変です。
ウチの娘も受験生でして、試験が終わるまで私にはギター禁止令が出ています(涙)。
ということで、この休日は雪かきの後、久々に腕時計の手入れをしました。
ギターへの興味が復活する前までは、機械式の腕時計にハマっていて、人からすればかなりの数を買っちゃあ手放し、また買っちゃあ手放し、という具合の時期がありました。
今は3つ程残っていますが、ここ10年殆ど毎日使ってるのがこれです。
OMEGA Speedmaster 105.003

私が生まれた1966年製で、スピードマスターとしては第3世代の俗に 『3rd』 と呼ばれているタイプです。
自分とほぼ同じ時を刻んでいるという意味で、愛着のある時計です。

機械式はクオーツに比べて、精度は劣るし、値段は遥かに高いし、メンテナンス代もかかる。。
最近じゃ、スマフォがあれば腕時計なんてなくても不自由はしません。
でも、なぜか腕には時計を巻いておきたいんですよね。
ブレスレットを革製のベルトに交換すると、フォーマルっぽくなって結婚式やパーティの場でもイケます。

ブレスレットは非常に重要な要素で、時計の雰囲気をガラリと変えます。
時計自体は大した重量がないので、ズシリと重みを感じるような時計は、実はブレスレットの重みだったりします。
肌に触れている部分の殆どがブレスレットやベルトなので、付け心地も左右されます。
私は違う世代のスピードマスターのブレスレットを使っています。
ルックス、付け心地、使い勝手が理由です。
現行のものは高級感はありますが、やたらと重いです。
重量を感じさせることで、高級であると錯覚をさせるためじゃないかと思うくらいです(笑)。
時計本体の機械をムーブメントといいますが、いつでも眺められるように、裏蓋をサファイヤガラスのシースルーのものに交換してます。

ムーブメントの中央左下にある、大きな輪の部品がテンプといわれる振り子です。

テンプの輪に幾つもの小さな突起が付いてるのがわかるでしょうか。

この突起はチラネジといって、オモリの働きをしていて、ねじ込む深さでテンプに作用する重みが変えられます。
ひとつひとつチラネジの間隔や、ねじ込む深さが微妙に異なってます。
時計がどのような向きになっても、テンプが一定の周期で振れるように調整するためです。
チラネジによる調整は非常に高度な技術で、最近の機械式時計にはあまり見られません。
ムーブメントには、様々な工夫がされていて、安定した動作、何年も使い続けられるようにと、職人の知恵と技術が集積されています。
こうした技術は大量生産の時代とともに、生産性重視のものに置き換わり、材質も落ち装飾も次第に簡略化されていきます。
こういうところはギターと似てますね。
ギターと同じで、同じ設計・ムーブメントでも、1960年代以前の時計がそうした理由で一部のマニアには珍重されるようです。
イっちゃてと思われるかもしれませんが、ムーブメントをルーペで眺めるのが大好きです(笑)。
綺麗に仕上げられた一つ一つの小さな部品が組合わさって動く様は、素晴らしく美しいものです。
これは腕時計の裏蓋の裏側です。
裏蓋は、1965年製のようです。

いくつもの円形の装飾が施されています。
これはベラルーシュといって、真珠をイメージしたスイス時計によく見られる装飾です。
裏蓋以外にも、ムーブメントには様々な装飾がされています。
通常であれば、持ち主の目に触れないような部分までこうした装飾がされています。
スイスの時計産業が盛んになった理由でご存知ですか?
宗教革命が深く関係しているそうです。
ヨーロッパにおける新教とカトリックとの争いの中で、フランスでは新教徒が迫害を受けていました。
彼らの多くは時計職人などの手工業者で、迫害から逃れて新教の本拠スイスのジュネーブに流れたそうです。
一方、ジュネーブは装飾工芸が盛んで、優れた装飾職人が多くいたそうですが、新教は華美や贅沢を禁じたので、彼らの産業は打撃を受けていました。
そこでジュネーブに逃げてきた時計職人が作る時計に、地場の職人が装飾を施したスイス時計が誕生したとのことです。
このベラルーシュを眺めると、そんなヨーロッパの歴史のロマンも感じられます。
スピードマスターは、その優秀さ故のエピソードも多く持つ時計です。
私には、そういうところがスマフォでは代用にならない理由かもしれません。