【諸乗法数】5-70

五邪 

詐現異相 

自説功徳

占相吉凶

高聲現威

説所得利以動人心

 

註 佛道に入った者がしてはならぬ事五つ。正しくは五邪命という。『大智度論』巻十九に見える。

詐現異相 殊更に奇瑞を説く。

自説功徳 己の功徳を誇らしげに説く。

占相吉凶 吉凶を占う。

高聲現威 声高に人を威圧する。

説所得利以動人心 利益で人の心を動かす。

 

修行者は占いはしないものと決まっているが、俗人の常として、占いによってこの先のことを知りたいものである。運命は自分でしか変えられないが、何かにすがって変えてもらおうとするのもまた人情である。しかし、それでも占いはしないのが修行者であり、占いをしたり、それにより金品をせしめる僧体の者がいれば、それは似非か、出家得度したプロであっても戒律を破る破戒僧ということになる。奇瑞を説いたり、大声で「あなたには野狐が憑いている」だの「祖先の霊に祟られている」だのと脅し怖がらせるのもあるまじき行為である。しかし、こういうほうが信じてしまう人が多く、邪教やカルトが流行るのもこういう方法で付け込むからである。