0年で2倍、20年で4倍…「雪だるま式」に資産を増やす投資家が絶対やらないNG行動とは?
澤上篤人 によるストーリー
• 1 日 •
2024.7.7
投資をするならできるだけリスクは低く、堅実にリターンを狙いたい。そんな人にはデイトレードのような目まぐるしい取引ではなく、長期投資が向いているだろう。長期投資で資産を増やすためのコツを、投資のプロが解説する。本稿は、澤上篤人『一生安心したいから「大人女子、投資始めます」』(主婦の友社)の一部を抜粋・編集したものです。
長期投資は「推し活」企業を楽しく応援しよう
これまで投資をしたことがない人にとっては、株式投資と聞いただけで「難しそう! ムリ!」と感じてしまうかもしれませんね。でも、まったくそんなことはありません。単にこれまで縁がなかったというだけのこと。特に自分自身の暮らしを大切にしているみなさんこそ、長期の株式投資に向いているのは間違いないと思います。
基本的なことは、「自分が好きな企業、応援したい会社を、長期投資という力で支えていく。その結果、自分の資産も増えるし、大好きな会社も元気に事業が続けられる」という流れです。
つまり、長期の株式投資で大切なキーワードは「応援」です。
自分の理想とする社会や夢と同じ方向に向かってビジネスを展開している企業の株を「応援」の気持ちで買うのです。だから、株式投資はとても楽しく、やりがいがあるのです。悲しい顔をして「推し活」をしている人はいないと思います。好きな企業の株式を買う、つまりその企業の株主になるということですから、気持ちがワクワクしてくるはずです。
どんなときに、もっとも価値のある「応援」ができるのか、ぜひ知っておきましょう。それは株式市場全体が暴落したり、なんらかの理由で応援したい企業の株が大きく売られて、株価がひどく下がっているときです。
企業経営者からすると、株価の突然の下落というのは困ったことです。毎日、まじめにビジネスをして、社員にはしっかり給料を払っているし、よい製品を消費者に届けている。それなのに株式市場全体の暴落や、よく理解できない理由で、自社の株価が下がっている。
すると損得しか考えない個人の投資家や機関投資家が、追い打ちをかけるように、どんどん売ってくるのです。
こういうときにこそ、本物の応援団である長期投資家の出番です。みんなが売っているのに、「私たちが応援しますよ」と気合いを込めて買いに行くわけですから、企業経営者にすれば、これほどありがたいことはありません。自分たちの経営は間違っていないとわかって、自信がつきます。
長期投資家にすれば、安い価格で株を購入できるので、こちらもありがたい。お互いにハッピーなのです。
「応援買い」に期待できる3つの重要な役割とは
この「応援買い」には、3つの重要な役割があります。
(1)株式市場の暴落時に、応援企業の株価が下げ止まる
株式市場全体が暴落しているときは、あらゆる企業の株式が叩き売られています。全品セール中のようなものです。そういうとき、「この会社の株を買いたい」という投資家が現れたら、少しずつ売りが吸収されていきます。つまりセール品が売り切れてしまうわけです。すると、その企業の株価は下げ止まります。
「え、もう売っていないの? それなら少し高値でも買うわ」
という人が現れたら、下がり続けた株価が今度は再上昇し始めます。
こうなると、「投機」専門も含め、世の投資家たちが、早くも注目しだすわけです。
「ほかの株は下がっているのに、どうしてこの企業の株だけ上がってきたんだろうか。よほど好材料が隠されているに違いない」と思い、目ざとい彼らはさっそく買い始めるのです。
この嗅覚が株式市場のすごいところです。ふと気がついたら、多くの株式がまだ暴落後の低迷を続けている中を、一部の株価だけスルスルと上昇を始めているといった展開となっていくのです。
これも、長期投資家による応援買いがあってこそです。
(2)応援したい企業の経営をあと押しする
株式市場が大暴落したり、株価全般が長期低迷したりしている時期に、その企業だけ株価がスルスルと上がり始めると、金融機関はじめ世の中も注目します。「この会社はよい経営をしているのだな」と思われるので、自然と信用が高まります。すると資金調達もしやすくなります。もちろん、その会社のイメージは高まり、商売にもプラスとなります。
同業他社は株価が低迷して苦しんでいます。そんな中、みなさんが応援している企業は金融機関から融資をしてもらい、経営を一歩進めることができます。すると今後のビジネス展開でも有利になるでしょう。将来に向けて、積極的な経営ができるのです。
(3)株主の顔ぶれが変わる
株式市場の暴落などで株価が下がると、儲けしか考えていない一般投資家や機関投資家は、手持ちの株を慌てて売り始めます。つまり、いつの間にか金儲け主義の株主がいなくなっていくのです。
これまでの持ち主がいなくなった株式を、私たちのような本物の長期投資家が驚くほど安く買っていきます。
その会社を本気で応援する人たちが株主になるので、経営者にとっても、こんなに嬉しいことはありません。ますます自信を持って、よい経営を追求することができます。
本物の長期投資家の資産がいつの間にか増えてしまう理由
価格が安いときに買った株式は、私たち長期投資家の大切な資産づくりのタネです。そのままずっと、好きな企業を応援しながら、株式を持ち続けましょう。
そのうちに少しずつ経済状態がよくなったり、株式市場など投資環境が好転してくると、私たちの大切にしている企業の株価も上がってきます。
すると、金儲けしか考えない投資家たちが、どこからともなく、再び株式市場に戻ってきます。それまで散々、売ってきた株の値段が上がっているのを見ると、「しまった、出遅れた!」と焦り、急いで買い始めるのです。
その影響で、株価はますます上がります。それを見ると、買いそびれた投資家が「まだまだ値段が上がるに違いない」と強気になって買い始め、株価はさらに上がっていきます。
さっきまで売っていた株を、今度は慌てて買い始めるという行動は、普通の生活者の感覚で見ると、とても不思議です。安く売ったものを、高くなってから買い直すのですから、まるで損をするために売買しているようです。
でも、これが一般投資家の、ごく普通の行動パターンなのです。私たち長期投資家は、決してまねしてはいけませんね。
「儲けたい」「儲けたい」の一般投資家は高値になるとますます買いたがるので、手持ちの株式を少しずつ彼らに売ってあげるのはOKです。しばらくの間、大切な企業の応援を一般投資家におまかせして、長期投資家は投資の収益を受け取ります。
みなさんは安く買っておいた株式を高い価格で売るのです。けっこうな金額の利益を受け取ることができるでしょう。
このお金は、そのまま証券会社の口座に残して、大切にキープしておきます。次の投資の原資になるからです。そして次に株価が暴落し、応援企業の株価がグッと安くなったら、再び応援しようという気持ちで買いに行くのです。
本物の長期投資家の行動は、この繰り返しです。経済や株式市場は、必ず好景気となったり不景気になったりの波がやってきます。それをのんびりと眺めながら、マイペースで株式の売買をしましょう。
『一生安心したいから「大人女子、投資始めます」』 (主婦の友社) 澤上篤人 著© ダイヤモンド・オンライン
このやり方のよいところは、誰がやってもそこそこの成績が出る可能性が高いことです。自分が応援したい、大好きな企業の株をよいリズムで売り買いするだけ。これは誰にでもできるし、やらない理由はないのです。
そして、その成果がすごいのです。
コツコツと10年やって、資産が2倍になったら、年率7.2%の計算になります。これは、もう立派な成績です。この繰り返しを続けていると複利効果で、資産が雪だるまのように増えていってくれます。10年で2倍ですから、20年で2倍の2倍で4倍となります。30年では4倍の2倍で8倍です。
これが複利の雪だるま効果というものです。将来に向けてお金の準備がしっかりと整うイメージが浮かびませんか?
大好調の意見
澤上篤人氏の長期投資法のお勧めである。だがやってる人は少ないのではないだろうか。その理由は結果が出るまでに時間がかかり、多くの投資家が結果が出るまで待っておれないのである。よほど覚悟をきめてかからねば、もしも選択に失敗したら悲惨なことになることを覚悟の上に実行したい。