放っておくと「人工透析」の恐れも…「腎臓病」の早期発見には健診結果のこの項目に注意!

永田 宏(長浜バイオ大学バイオデータサイエンス学科教授) によるストーリー

 • 9 時間 

2024.6.22

 

毎年1回は受けることが義務付けられている職場健診。健診結果の異常を示す「*」がついた数値には、実は気にしなくて良いものもあれば、今すぐに再検査を受けなければならないものもある。果たしてあなたは診断結果の本当の意味を理解しているだろうか。

BMI・血圧・尿糖・眼底など項目別にその検査結果の正しい見方を解説した『健診結果の読み方』(永田宏著)より一部抜粋してお届けする。

 

『健診結果の読み方』連載第34回

『「人工透析」が必要になるかもしれない⁉…「尿検査」でチェックしている「CKD」を知っていますか?』より続く

最後は人工透析に...

血液中の老廃物を、腎臓がどれだけ濾しとって尿に排泄できるかを表す指標で、クレアチニン値と性別・年齢をもとに、定められた計算式で算出します。慢性腎臓病(CKD)のスクリーニングに用います。

CKDとは、2002年にアメリカ腎臓財団が提唱した新しい概念で、慢性的に進行するすべての腎臓病の総称です。糖尿病性腎症や高血圧性腎症、慢性糸球体腎炎などが含まれます。

 

いずれも初期には、ほとんど自覚症状がありません。だんだん進行してくると、夜間にオシッコで何度も起きる、足にむくみが出る、貧血、倦怠感、息切れなどの症状が出てきます。

 

しかしそれらは別の病気や、単に年をとっただけでも出てくる症状と同じなので、「年のせい」と思って病院に行かず、悪化させてしまうひとが少なくありません。

しかし放っておくと、次第に腎臓が弱って、最後は人工透析に行きついてしまうこともあります。とくに日本は人工透析の患者が増え続けており、2021年末には約35万人に達しました。

透析にかかる莫大な医療費

(社)日本生活習慣病予防協会によれば、CKDの患者数は、潜在患者(病院を受診していない患者)を含めて約1330万人だそうです。一方、人工透析の新規患者数は、毎年3万~4万人。ですからCKDだからといっても、人工透析が必要になるひとは必ずしも多くはありません。

 

ただし透析には1人当たり年間約500万円の医療費が必要です。その大半が健康保険などから支払われているため、保険財政にとって大きな重荷です。

患者にとってはもっと重荷です。毎週3回、1回当たり4時間ほど、人工透析器につながれて過ごすことになります。当然、食事制限や飲み物制限もあります。あまりに不便で苦痛なので、発展途上国などの若者から採った腎臓が、国際的に売買されているのはご存知のとおり。犯罪に手を染めてまで逃れたいのが、腎臓透析というわけです。

人工透析を避けたいなら注目すべき「eGFR」

早期に発見し、治療を開始すれば、透析を免れることができるでしょう。健診結果が戻ってきたら、eGFRにも注目するべきです。

日本人間ドック学会の基準値は、次のようになっています。

『健診結果の読み方』永田宏著

『健診結果の読み方』永田宏著© 現代ビジネス

 

職場によっては、eGFR値が結果に記載されていないかもしれません。しかしクレアチニン値が分かっていれば、インターネットのサイトで簡単に計算できます。代表的なサイトを2つ載せておきますので、興味のあるひとは覗いてみてください。

腎臓の働きをしらべる eGFRの測定

https://www.kyowakirin.co.jp/ckd/check/check.html

腎臓セルフチェック計算式

https://www.adpkd.jp/selfcheck/calc_gfr.html

 

『テレビやメーカーを鵜呑みにすると危険!...「健康診断前」のビタミンCにまつわる「恐ろしい誤解」を健康情報学の専門家が徹底解説』へ続く

 

大好調の意見

 人工透析は恐ろしい状態です。ぜひとも回避しなければならない病気の一つですが、「早期に発見し、治療を開始すれば、透析を免れることができるでしょう。」との0ことですので、「健診結果が戻ってきたら、eGFRにも注目」して、よく医師と相談するべきです。