ウォーレン・バフェットが株主への手紙で明かした、成功の意外な原則

ガリレオ によるストーリー

 • 7 か月 •

2024.5.7

 

ウォーレン・バフェット氏は毎年、バークシャー・ハサウェイの株主に向けて手紙を書くのですが、その内容は、どんなビジネスリーダーも読んでおいたほうがよいものです。

投資家でなくても、バフェット氏の手紙から学べることはたくさんあります。そこから得られるのは、自分のお金に関するヒントだけではありません。

成功者は、自分の成功を実力と考えていない?

たとえば今年の書簡では、バフェット氏は成功と失敗について触れています。そして、この58年間の成功の大部分を「幸運」のおかげだと言っています。

バフェット氏といえば、ビジネスのポテンシャルを見極めるのが彼ほどうまい人物はどこにも見当たらないと、誰もが思っています。

そのバフェット氏が、あれだけの成功のすべてを、自分の力ではコントロールできない「幸運」のおかげだと考えているなんて、とても信じられません。でも、彼は本当にそう思っています。今年の手紙には、こう書かれています。

バークシャーのマネジメントを行なうようになって58年になりますが、私がこれまでに資本配分に関して行なった決断のほとんどは、まあまあといったところではないでしょうか。また、なかには、私の間違った判断が、途方もないほどの幸運によって救われたケースもあります(USAirやサロモンの件で、バークシャーが辛うじて難を逃れられたのを覚えていますか? もちろん、私は覚えています)。

 

バークシャーが上げてきた満足のいく成果は、いくつかの本当に良い判断の産物です(そうした良い判断の頻度は5年に1度ぐらいで、全部で1ダースくらいでしょうか)。そして、ときに忘れられてしまうことですが、バークシャーのような長期投資者に有利に働くアドバンテージの産物です。

この手紙には、洞察がいたるところに散りばめられていますが、成功の原則の1つが、この「途方もないほどの幸運」であるというのは、何とも意外です。

成功の秘訣は「圧倒的努力」と考えがちだけど…

私たちは普通、成功者とは、読みが当たった人のことではなく、信じられないほど努力して、その努力の成果を得る人のことだと考えがちですが、「幸運と成功はほとんどの場合、私たちが思っているよりもずっと密接な関係にある」、バフェット氏が言わんとしているのは、こういうことのように思えます。

 

確かに、本気で努力する人は、成功の確率を上げます(少なくとも、純粋に統計的に見れば)。バフェット氏が言っているのは、自分の判断にどれだけ自信があっても、3年、5年、20年後にどうなっているのかを知ることは不可能だということです。

 

成功というものは、大なり小なり、正しい決断をできるだけ多くすること、それからときどき幸運に恵まれることの上に成り立っているのです。あなたが賭けを行なった判断の中には、結果的にうまくいくこともあるでしょう。反対に、うまくいかないこともあるでしょう。

重要なのは、決断するチャンスの多さ

バフェット氏は書簡の中で、「長年にわたり、私はいくつもの間違いを犯してきました」と述べています。

その結果、現在、バークシャーの下には、多岐にわたるビジネスが集まっています。その中には、本当に驚くべき経済力をもっている企業もいくつかあります。非常に優れた経済的特性に恵まれている企業も多くありますし、利益がほとんど出ていない企業も多くあります。

また、ここに至るまでに私が投資したビジネスの中には、息絶えてしまったものもあります。その製品が一般消費者から支持されなかった企業です。

ここが大事なところです。

なぜならここには、ビジネスリーダーの目に映る成功の形が映し出されているからです。リーダーが行なう決断の数々をポートフォリオと考えるなら、その人の決断の中には、本当に良い結果につながるものもあるでしょう。まずまずの結果につながるものもあるでしょう。間違いだったことが後でわかるものもあるでしょう。

 

ポイントは、常にベストな決断を下すことではありません。その決断が間違いだったと後でわかることもあると知った上で、その時にベストな決断を、繰り返し行ない続けることです。

 

また、成功者になるのに、100回の成功は必要ありません。しかし、100回くらい挑戦する必要はあるかもしれません。100回挑戦すれば、ほんの一握りの「特大の成功」を手にできるかもしれず、そうした成功が、失敗にも意味を与えるかもしれません。

 

もちろん、「もっと努力して、成功しそうなのはどの賭けなのかを見極めて、成功の割合を高めればいいじゃないか」という意見もあるかもしれません。「決断の数を絞って質を高めればいいではないか」と。

 

言いたいことはわかりますが、そのようにはいきません。もし成功の多くが、「努力と幸運の衝突」の上に成り立っているのなら、やるべきことは、正しい決断を下せるチャンスの数を増やすことです。成功が数のゲームであるなら、やるべきことは、できるだけ多くプレイすることなのです。

 

「オマハの賢人」と呼ばれるバフェット氏が、成功の多くは幸運のおかげだと考えているとしたら、その発言にがっかりする人もいるかもしれません。ですが、その言葉に、誰もが耳を傾ける価値があることは確かでしょう。

 

Source: Warren E. Buffett

Originally published by Inc. [原文]

Copyright © 2023 Mansueto Ventures LLC.

 

大好調の意見

 バフェット氏のような成功のために「やるべきことは、正しい決断を下せるチャンスの数を増やすことです。」とのことですが、何を意味しているのでしょうか。

 

チャンスを増やすためには、エントリーするために常に十分な資金を準備しておくことが必要ではないでしょうか。