外科医の前院長が入院患者を「抱え込み」、適正化の要望も応じず…糖尿病見落とし患者死亡

読売新聞 によるストーリー

 • 1 日 

2024.4.17

 

(写真:読売新聞)

(写真:読売新聞)© 読売新聞

 

 神戸徳洲会病院(神戸市)で糖尿病患者が必要な治療を受けられず死亡した問題で、主治医だった前院長が当時、入院患者の約3分の1にあたる50人超を受け持っていたことが神戸市の調査でわかった。市は患者を抱え込んで無理な診療を続けたことが問題の一因とみており、今月上旬に市が受理した病院側の改善計画書には医師1人が受け持つ入院患者数の上限が盛り込まれた。(中田智香子)

 

 市医務薬務課などによると、死亡したのは70歳代の男性患者で、昨年9月に肺炎で入院。主治医となった外科医の前院長は糖尿病の既往歴を見落とし、インスリン投与が中断された。男性は10日後に死亡した。その後の調べなどで、この頃、前院長は入院患者約170人のうち約55人を受け持っていたことが判明。病院関係者は「前院長の患者の多さは異常だった」と話す。

 

 同病院ではカテーテル手術で複数の患者が死亡する問題があり、昨夏以降、医師の離職が続いて人員不足に陥った。医療安全の観点から救急搬送の受け入れを停止し、業務量を適正化するよう複数の医師らが求めたが、前院長は応じず、自ら多くの患者を抱え込んだという。

 

 市は同病院の診療体制を調査。医療法上、医師1人が受け持つ入院患者数の規定はないが、徳洲会グループの他の病院が多くて30人程度にしている実態を把握し、「50人超は非常に多い」と判断した。一人ひとりの患者に目が行き届くよう担当人数を適正化する措置を怠り、医療安全への意識が希薄だったとして体制の見直しを求めた。

 

 一連の問題で市は今年2月、「医療法に繰り返し違反した」として運営法人の徳洲会に改善命令を出した。法人は3月に改善計画書を提出。今月上旬に受理され、担当患者の上限も明記された。数は非公表だが30人未満という。前院長は4月1日付で系列病院に異動した。

 

■「命を軽視」遺族が批判

 死亡した男性患者の妻が読売新聞の取材に応じた。妻は「防げたミス。命を軽視している」と病院を批判した。

 夫は新型コロナウイルス感染で肺炎を患い、大学病院に入院。回復してきたため昨年9月5日、糖尿病治療でかかりつけだった神戸徳洲会病院に転院した。カテーテル手術に絡む問題が報道されており、妻は不安を抱いたが、「院長が主治医ならば大丈夫だろう」と思い直した。

 

 コロナの感染対策で面会できなかったが、看護師から「一人で食事が取れた」と聞き、いずれ退院できると思っていた。その後、血糖値が高いという連絡があり、前院長に「命に別条はないか」と尋ねると前院長は「ないと思う」と答えた。

 だがその1~2日後、「危篤状態」と電話で呼び出され、夫は同15日に死亡。死因は「肺炎」と説明された。転院時に「肺炎は治ってきている」と聞いていただけに、信じがたかった。

 

 昨年11月の神戸市による立ち入り検査後、前院長らが自宅を訪問。妻は、インスリンの投与が中断されたという真相を知らされ、「死因の説明がうそだったとは。立ち入りがなければずっと隠されていた」と怒りがこみ上げた。「かわいそうなことをした。なぜあの病院に入れてしまったのか」。自問して眠れない日々が続いている。

 

大好調の意見

 徳洲会病院には何か問題が多いように感じる。今回の事例でも、院長は病院の経営のために頑張って過大な人数の間者を自分で担当し、病院の収支に貢献しようとしたのであろうが、その結果、忙しすぎて治療ミスを起こしたのであろう。

 

現代では、患者は自分の症状(糖尿病)を担当医に「おくすり手帳」を見せて説明する必要があるのだろう。それにしても、多くの優れた糖尿病治療薬があるのに高血糖で死ぬ事例があるとは思わなかった。

 

近年は、病院に行くことが多くなったが、しっかりと症状と病歴そして心配していることはドクターに説明したい。