ヨガや筋トレをしている人は気を付けたほうがいい…「グッと力を入れる」と発症リスクが高まる病気の名前

井上 賢治 によるストーリー • 6 時間

2024.2.25

 

ヨガや筋力トレーニングをやりすぎると健康リスクを高める場合もある。眼科医の井上賢治さんは「筋トレや有酸素運動は健康維持には重要だが、無理な動きや過度な運動が悪影響を及ぼすこともあるので注意が必要」という――。

※本稿は、井上賢治『いちばん親切でくわしい緑内障の教科書』(世界文化社)の一部を再編集したものです。

高血糖だと視神経にダメージ

糖尿病は緑内障の原因の1つです。

それは、高血糖状態によって網膜の血管が傷んで、結果的に視神経がダメージを受けるからです。

高血糖状態が目によくないのは、糖尿病の人に限ったことではありません。健康な人の場合、糖尿病の人ほど高血糖になったり、高血糖状態が続いたりすることはないものの、血糖値が上がりやすいものを食べすぎれば、視神経を傷める可能性があります。

血糖値とは血液中のブドウ糖濃度のことで、ブドウ糖のもとになるのは糖質です。

糖質には、砂糖、果物などに含まれる果糖、ご飯やパンや芋類などに含まれるでんぷんなどがあります。

 

これらの食べ物のうち口に入れてすぐ甘味を感じるものは、分子が小さく、早く吸収され、血糖値を急上昇させます。

アルコールの飲み過ぎはNG

その代表格が砂糖です。ケーキやアイスクリームなどのスイーツ、ジュースや炭酸飲料など砂糖を多く含むものはとりすぎないようにしましょう。

チョコレートはミルクチョコレートより、高カカオマスのダークチョコレートのほうが糖質量が少ないのでおすすめです。

アルコールは、適量なら問題ありませんが、飲みすぎはNGです。特に飲み会では注意が必要です。

一気飲みや大量の飲酒は、水分のとりすぎも重なって眼圧を上げる可能性があります。酔って興奮し、大声をあげれば眼圧も上がります。

脂っこく塩辛いつまみは、高血圧や動脈硬化につながり、目にもよくありません。

大量の飲酒は体内で活性酸素を多く発生させ、動脈硬化を加速させます。

また、寝酒は睡眠の質を下げることがあるので、寝る直前の飲酒は避けましょう。

「ヨガの逆立ちポーズ」で眼圧が急上昇

適度な運動は緑内障の悪化防止に効果がありますが、運動の種目や方法によっては、眼圧を上げ、緑内障リスクを高める可能性があるものがあります。

逆立ちのように頭が下になるような動作は、眼圧を上げてしまいます。

ヨガで頭を床につけて腕で体を支えて逆立ちになるポーズをとると、眼圧が15mmHgから30mmHgに上がったという報告もあります。

ヨガや瞑想は心身の安定をはかるためには効果的ですから、ポーズに注意して行ってください。

また、呼吸を止めてぐっと力を入れるようなトレーニング(ウエイトリフティングなど)は、眼圧が急上昇するため避けたほうがよいでしょう。

適度な筋トレにとどめるほうがいい

ただし、筋力は健康維持のためには必要ですから、年齢や体力に合った適度な筋トレは続けてください。

水泳は健康のためにとてもよい有酸素運動ですが、ゴーグルをきつく着けると眼圧が上がるという報告があるので注意が必要です。

外せば眼圧は元に戻るので、きつくしすぎないようにし、休憩するときに外すようにするとよいでしょう。

急にイライラしたり興奮したり、怒鳴ったりすると眼圧が急上昇します。

職場や家庭で興奮して大声を出すような事態は、する側とされる側の双方にとってよいことはありません。

日常の中にあるイライラのタネに直面したときは、カッとしないように、1拍置いて深呼吸し、少し距離をとりましょう。

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イライラのタネを解決しようとしても、簡単ではないでしょうし、むしろイライラがつのるかもしれません。うまく避けたり、その場から逃げたりするほうが得策です。

ストレスで視神経にダメージ

ストレスに直面すると、肉食動物に遭遇した草食動物のように、体は臨戦モードになります。

交感神経が働いて血圧や心拍数が上がるだけでなく、網膜の血管が収縮して血流が減り、酸素や栄養素が不足して視神経がダメージを受け、緑内障を進行させると考えられます。

ストレス解消のコツは非日常。場所や時間、行動などがストレスフルな日常と離れているほうが効果的です。

好きなもの、ワクワクするもの、没頭できるものを見つけて、思い切り楽しみましょう。

目の健康に役立つルテイン・アントシアニン

毎日のちょっとした心がけで、目の健康を維持することができます。

まず、食事は目の健康と深い関係があります。

各種のビタミンには、目の網膜や水晶体の機能を維持する働きがあり、どれも欠かせない栄養素です。またルテインやアントシアニンといった物質は、目の健康の維持に役立つと考えられており、意識してとりたい栄養成分です。

休息や運動は、心身の疲労回復を促し、血流を改善、体のさまざまな機能によい影響をもたらします。

睡眠は目を休めるための大切な時間です。眼圧が上がらないような寝姿勢を維持しつつ、質のよい睡眠がとれるように、寝室の環境を整え、入浴や軽いストレッチなどで体を自然な睡眠に導きましょう。

激しい筋トレなどの運動は緑内障にはNGですが、適度な運動は糖尿病や肥満を予防し、悪玉コレステロールを低下させ、動脈硬化を予防する効果があり、網膜への血流改善にも役立ちます。

「1駅ぶん歩く」だけでも違う

また、ストレスを解消し、よりよい睡眠を促す効果も期待できます。

スポーツジムに行くのが難しい人は、毎日の生活の中でできるだけ歩くようにしたり、家事などで体をこまめに動かすことを意識しましょう。

1駅ぶん歩いたり、階段を使うだけでもかまいません。天気がいい日は散歩に出て、遠くの景色を眺めてリフレッシュするのもよいでしょう。

そうして、目にも体にもよい行動をできる範囲で習慣にし、目の健康維持、そして体の健康維持を心がけることが大切です。

外出するときは「UVカット」

紫外線は目を傷めますから、外出するときはUVカット機能つきのサングラスやコンタクトレンズを使いましょう。

サングラスの色とUVカット機能は関係がないので、必ずUVカット機能があるものにし、色は好みで選んでください。

紫外線カットには、日傘や、つばの広い帽子もおすすめです。窓ガラスを通って入り込む紫外線に対しては、紫外線を遮断するフィルムを貼る方法もあります。

紫外線は夏だけでなく冬にも降り注いでいます。対策は通年で行いましょう。

仕事や趣味でパソコンを使うと長時間使用になりがちです。同じ姿勢で同じ距離のモニターを見つめ続けるのは、肩こりや腰痛を引き起こすだけでなく目にもよくありません。

パソコンで作業をするときは、少なくとも1時間に1回はモニターから目を離し、目を閉じて休憩しましょう。

窓からの景色を眺めて気分転換してもかまいません。室内でも部屋の遠い場所にあるものを見ると、こり固まった目の調節機能をリセットするのに役立ちます。

ブルーライトが目に悪い理由

最近、スマートフォンなどLEDをバックライトにしている機器から出るブルーライトが、体に悪影響を及ぼす可能性があると指摘されています。

ブルーライトとは可視光線と紫外線の境目を挟んだ380〜500nmの波長の青色光のことです。

実は、ブルーライトは太陽光にも含まれています。朝にこの光を浴びると体内リズムが整い、夜、よりよい眠りに導くメラトニンというホルモンの分泌が促されるので、ブルーライトは私たちの健康のために大切な光でもあります。

しかし、ブルーライトを長く浴び続けると、角膜や網膜が傷んでしまう可能性があるうえ、夜にスマートフォンなどを見続けてブルーライトを浴びてしまうと、体が朝だと勘違いし、体内リズムが崩れ、睡眠の質が低下してしまうと考えられています。

スマートフォンやタブレットなどを多く使う人は、ブルーライトカット機能つきのメガネを使うのもよいでしょう。

また、寝る前にベッドでスマートフォンを触るのは控えて、必要以上にブルーライトを浴びないよう注意しましょう。

腹式呼吸は目にいい

ストレスや緊張状態は呼吸を速く、浅くします。そういったときに深呼吸を繰り返すと、副交感神経が優位になり、心身の緊張が解けます。

全身の血流が促進され、目にもよい効果をもたらします。

ソファなどにゆったりと座り、鼻から大きく息を吸い込んだら、ほんの少し間をおいてから、今度は口から細く長く、吸うときの2倍くらいの時間をかけて吐き出します。

腹式呼吸を意識して、5分くらい続けましょう。徐々に体の力が抜けて、リラックスできるはずです。

実は寝る姿勢のほうが目に悪い

眼圧は、座った姿勢より寝る姿勢のほうが高くなります。

頭が低くなるほど眼圧が上がりやすいので、睡眠中は頭を少し高くしておくと、眼圧に影響しない寝姿勢になります。

ただし、枕が高すぎると、首が前に曲がってしまい、呼吸が苦しくなったり、首や肩に負担がかかったりします。大きめの枕で、肩全体から上が少し高くなるようにすると効果的です。

また、高齢者で看護・介護用ベッドを使っている場合は、ほんの少し頭側を高くして寝るのもよいでしょう。

「睡眠の質」が重要

目の疲労回復には睡眠が効果的です。睡眠時間には個人差がありますが、一般に6〜8時間は必要とされています。しかしもっと重要なのは睡眠の質です。

質のよい睡眠とは、十分に疲労が回復する睡眠です。疲労回復には成長ホルモンが重要な役割を果たします。成長ホルモンは睡眠中、特に夜10時頃から夜中の3時頃までの間に最も多く分泌されるので、この時間帯に睡眠をとるとよいと言われています。

ですので、遅くとも夜の12時には寝る習慣をつけましょう。

 

寝る直前にはコーヒーやお茶などカフェインを含む飲み物は飲まないようにしましょう。アルコールも睡眠を浅くしてしまうので寝酒はおすすめしません。

入浴後、ストレッチや軽いマッサージをしてリラックスするほか、寝る少し前から部屋の照明を暗くしていき、室温を調節し、外の光が入らないようカーテンを閉めて睡眠環境を整えます。

また、ヒーリングミュージックを流したり、眠りを誘うアロマを焚いたりするのもおすすめです。

---------- 井上 賢治(いのうえ・けんじ) 医療法人 社団済安堂理事長 井上眼科病院院長 千葉大学医学部卒、東京大学医学部大学院修了。眼科専門医。専門は緑内障。143年(創立1881年)の歴史を有する日本有数の眼科専門病院のトップを務める。著書に『視力0.1でも豊かな生活を送る 目の健康を守る本』など多数。 ----------

 

大好調の意見

 眼の健康を維持することは非常に重要で、もう黙認っては普通の生活が出来なくなるのでこの記事の内容は尊重したい。

 

特に、「適度な筋トレにとどめるほうがいい」戸野助言は尊重したい。そのほかに、「寝る直前にはコーヒーやお茶などカフェインを含む飲み物は飲まないようにしましょう。」、「アルコールも睡眠を浅くしてしまうので寝酒はおすすめしません。」戸野助言も大切だ。