「いずれは家を売ったお金で老人ホームに」と考えている人が知っておきたいリスクとは?

ファイナンシャルフィールド の意見 • 2 日

2024.1.17

 

どのようなリスクがあるのか知っておこう

高齢者の中には、それまで住んでいたマイホームを売却し、その売却資金を高齢者向け住宅の入所資金に充てる人は少なくありません。ここで問題となるのが、「その施設が自分とあうのか?」ということです。

 

まず、ここで整理しておくべきことは高齢者向け施設についてです。

一般的にセカンドライフで入所する施設は、終の棲家と考えているケースが多いのではないでしょうか。その場合は、終身介護付き施設を選ぶことも多いでしょう。終身介護付きはその名のとおり、万一、要介護状態になったとしても、そのまま住み続けることが可能です。

 

このとき介護付きではない施設を選んでしまうと、万一、要介護状態になったときには、その施設から出ていかなければなりません。つまり、新たな住まいを探さなければならないということなのです。

 

また施設の雰囲気、主に他の入所者とあう・あわないも大切なポイントになります。

筆者自身、何ヶ所か高齢者向け施設を見学していますが、個人的には、入所時の一時金や毎月の管理等の費用だけでなく、入所施設で提供されるプログラムも、費用が高い施設は高級志向やセレブ志向の方が多い印象でした。

 

あくまでも筆者が感じたことですが、具体的には、入所一時金が8000万円以上を超えるときには、施設が提供しているプログラムは社交ダンス、フランス映画観賞会、クラシック音楽鑑賞会、食事会(フレンチやイタリアン等)が見受けられました。入所者の服装や持ち物もいわゆるブランド品が多いようでした。

 

また、比較的に入所一時金が抑えられた施設の場合、落語会、おしゃべり会、手芸、体操教室等のプログラムが見受けられました。入所者の服装や持ち物は、もちろんブランド品もありますが、施設内ではいわゆる普段着で過ごしている人が多い印象があります。

 

いずれのケースでも予算は大切ですが、入所する施設が自分の趣味とあっているのか、すでに入所している人たちとうまくやっていけそうかを踏まえて選ぶことも大切です。

どのような施設が良いのかは人それぞれですが、上記の他に、事前にチェックしておいたほうがよいと思われるポイントを下記にまとめました。

 

●予算は足りるのか?

●毎月の支出に無理はないのか(管理費などを含む)?

●希望の立地か?

(駅からの距離、アクセスの良さ、シャトルバス運行の有無等も大切)

●施設が提供するプログラムは自分の趣味とあうのか?

●プライバシーがどこまで守られているのか?

●入所者の雰囲気はどうか?

(目に見えるトラブルの有無、話し方、服装、立ち居振る舞い等)

●提供される自分の食事は自分の口にあうのか?

●近隣に自分が必要な施設があるのか?

(病院、スーパー、ショッピングモール、レストラン、カフェ等)

●外部のデリバリーサービスが利用できるのか?

●銀行等のATMの設置もしくは銀行員の定期的な訪問があるのか?

●体験宿泊が可能な施設なのか?

(1ヶ月程度滞在すれば、全体的な雰囲気がつかめます)__

高齢者施設は行きやすく帰りやすい状態に整えておくのがベスト

 時間をかけて施設を選んでも、施設を出なければならない事情が生じることがあります。高齢者施設に住み替えるということは、自宅が施設になるということですので、万一、出ていかなければならない場合、一から住まいを探さなければならなくなってしまいます。

 

年齢を重ねてからの住まい探しは若いときよりも困難になることが少なくありません。そこで大切になってくるのが、「行きやすく帰りやすい」という状態で入所することなのです。

 

可能であれば、売却した資金のすべてを使わずに、万一に備えてストックしておく。あらかじめ子どもと話し合い、万一のことが起こったときには、どのように対処するのかを決めておくこと等が必要です。

 

高齢者施設を出ていくとき、入所期間が短期であれば、一時金の一部が戻ってくることは多いです。ただし、償却期間は早く、戻り率も低く設定されています。それらを元手に以前と同じようなマイホームを手に入れるのは難しいと考えたほうがよいでしょう。

失敗しない施設選びでするべきこと

資金のシミュレーションをするのはもちろんですが、体験入所、宿泊をして、施設や入所者の人々とあうのかを確かめることも必要です。もし、すでに築き上げられている人間関係の輪に入りにくいようなら、新設の施設に入所するのも手です。

 

いずれにしても、家族と相談しながら、複数の施設を見学してから自分と家族が納得できる施設を選んでください。

たとえ良い施設であっても、行きやすく帰りやすい状態を整えておくと安心です。

執筆者:飯田道子

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

 

大好調の意見

 知り合いで高齢者施設に夫婦で入所して一生を終えられた方があった。一度手紙のやり取りをしたが、幸せだったであろうかとふと思い出しました。

 

誰でも、ピンピンコロリが願いであろうが、そのためには如何に健康に注意しなければいけないか、改めて思いました。