2024年は大相場に!「絶対に掴んでおきたい日本株」プロ厳選の10銘柄を「実名公開」

安恒 理 によるストーリー  • 5 日

2024.1.2

 

2023年、値を上げた銘柄は?

株式市場は年末の「餅つき相場」を意識し、トレーダーはすでに来年の戦略を組み始めていることだろう。これからの狙い目の銘柄を紹介する前に、この1年、どんな銘柄群が物色されたか振り返りたい。

 

大きく値を上げた銘柄群では、「半導体」(半導体製造装置も含む)「防衛・安全保障」「インバウンド」「人工知能 生成AI」「円安」といったところだろうか。

 

このうち半導体関連ではレーザーテック(6920)アドバンテスト(6857)といった銘柄に代表されるように、株価が上がり切った感がある。

「防衛・安全保障」や「インバウンド」関連業界は、このコーナーでも取り上げたテーマでもあり、まだまだ伸びの余地はありそうだ。

 

が、今回は2023年を通して円安だった点に注目してみたい。円安を引き起こした大きな要因は、言うまでもなく日米の金利差だ。長年、デフレに喘いでいた日本経済に、日銀は金融引き締めにカジを切ることができなかった。その間、アメリカは金融の引き締めを行い、日米の金利差は広がった。

              

結果として円安ドル高は進行した。だが9月、そして11月のFRB(連邦準備制度理事会)金融政策決定会合では利上げは見送られた。

市場の見方は二つに分かれる。

外国人投資家にも影響が

まず、米国の経済指標では明らかにインフレが鈍化し始め、FRBの利上げサイクルは終わったという見方。11月末にFRBのなかでも「タカ派」と見られていたウォーラー理事などは利下げの可能性を示唆した。

 

一方、FRBのなかでも「物価を巡る進展が停滞すれば、追加利上げの可能性を否定しない」声も上がっている。いずれにしろ、これまでのように利上げが続くようなことはなく、最終局面を迎えている。

 

一方、日本の利上げに関しては機運が高まっている。

つまり過度の円安にブレーキがかかり、2024年はその勢いに加速がつく可能性が強い。2023年に円安が逆風となって株価を下げた銘柄に脚光が浴びるというわけだ。

 

為替では、外国人投資家の動向にも影響を与える。外国人からすれば円安のときに日本株を買い、円高になって売り抜ければその分メリットが生じる。円高になれば外国人の買いは鈍るが、じょじょに円高に移行するなかで駆け込みで買いが入ることも想定できる。2023年は外国人の日本株買いは低水準だった。

 

外国人の日本株投資にも期待が持てるわけだが、懸念材料がないわけでもない。

 

一つは、中国の経済不振、多額の不良債権、米中経済摩擦。さらには台湾問題。

このあたりの「火薬庫」が爆発したときは、世界の株式市場は大きなショックを受けるだろう。とりわけ中国の台湾侵攻が行なわれたときなど、その確率は低いものの影響は計り知れない。が、それ以外であれば、逆に一時的なショックとして考えによっては絶好の買い場となる。

 

そしてロシアのウクライナ侵攻、パレスチナ問題。出口は読めないが、株式市場はこの問題を折り込みつつある。

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プラス材料としては、もう一つ「新NISA」制度がある。この視点から見ると中長期投資に向いた「高配当銘柄」「低PBR」銘柄ということになるだろう。

以上の視点から注目銘柄を抽出したい。

割安感漂う食品関連銘柄

まずは円安の恩恵を被るマルハニチロ(1333)を挙げたい。

最大手の水産物の取り扱い業者で加工食品でも大きなシェアを持つ。食品の原材料価格の上昇分を価格転嫁でカバーし、収益性を大きく改善させている。

業績も悪くない。営業益は高水準を維持。配当も連続して増配を続け、予想配当利回りも2%をゆうに超える。(予想)PERは6.3倍、(実績)PBRは0.75倍と割安感漂う。

株価は12月半ばまで3000円を目指す動きだったが、その後、調整局面を迎えている。押し目買いの好機だろう。

 

小麦粉を輸入、製粉しパスタ中心の食品も手掛ける日清製粉グループ本社(2002)も、2023年前半は円安が株価の足を引っ張っていた。だが原材料高の価格転嫁が進み、業績の回復著しい。2024年3月期の業績予想は売上8500億円(前期比+6.4%)、営業利益460億円(+40.1%)。予想PERは10倍ほど、実績PBRは0.8倍。割安ではあるが、株価は2500円をキープしていた2019年から下落を続け2000円前後で推移していたが、直近で1900円割れを見せた。たが2500円に到達してもまだ、割安感残る水準だ。

業績も2024年以降も拡大し、増配も続ける見込みだ。

配当利回り5%の株を押し目買い

空運のANAホールディングス(9202)も航空燃料高があるものの円高効果が遅れて出てくる。国内線、国際線ともコロナ禍でのレジャー旅行の手控えから回復。訪日外国人も増える。業績は、2023年3月期は売上1兆7074億円、営業利益1200億円。2024年12月発売の「会社四季報」では、2024年3月期の売上予想2兆円(会社計画は1兆9700億円)、営業利益予想1600億円(会社計画は1400億円)となっている。さらに2025年3月期も増収増益と見込んでいる。

 

鉄鋼メーカーのなかで一人気を吐いている企業に神戸製鋼所(5406)がある。

業績の上方修正を出し、さらに配当性向も従来の15~25%から30%程度に引き上げると発表し、株主還元を強化するとした。予想配当利回りは5%近くにもなり、市場はこれらの発表を好感し株価は上昇した。600円前後をウロウロしていた株価は2023年に入って動意づき、あっという間に駆け上がり9月20日には上場来高値の2179円をつけた。いまやや調整局面を迎え、1700円をわずかに超えた水準だ。押し目買いにはもってこい。

 

円安が足かせとなり、収益を圧迫していた企業にニトリホールディングス(9843)がある。テレビCMでもよく知られた家具・インテリア製品の製造・販売を行なう企業だが2023年上期は為替の影響が大きく仕入れコストが増大した。決算日変更で比較は難しいが、輸入コスト増が業績を大きく下げた。2024年通期は高水準だった前期並み止まり。これに円安が是正されれば業績はさらに拡大するだろう。国内外の店舗数も順調に増えている。2021年には2万2000円台をつけた株価は2022年には1万2000円台まで下落。いまようやく1万8000円まで戻したところだが、まだ上値余地は大きい。

旅行会社にも追い風が

円安で痛手を被ったのが、海外旅行を手掛ける旅行会社だ。その代表の一つがユーラシア旅行社(9376)だろう。コロナ禍の影響もあり、2020年9月期から営業赤字続きだった。とはいえ2023年9月期は前年の4億円の営業赤字に比べ、赤字幅は1億2000万円と縮まった。2024年は海外旅行がコロナ前の80%の水準まで戻す見込みを立て営業黒字化(9500万円)計画だ。円高の進行によっては、もっと上振れもあるだろう。

株価は業績悪化を反映して低迷したままだ。2022年秋に株価500円を一時的に回復したものの。その後は450円前後を往来している。仕込み時といえよう。

 

もう一つ旅行社から銘柄を紹介しておこう。海外旅行中心の大手、エイチ・アイ・エス(9603)は2022年10月期は、479億円の営業赤字だったが、12月15日に発表された2023年10月期の決算は13.9億円の営業黒字.2024年10月期の計画では、90億円の営業黒字予想。旺盛なインバウンドの効果がその強気の見方の根拠だ。

株価は、好業績予想に反応して上昇したが、目下のところは調整局面を迎えている。

来期は営業黒字化するのではないだろうか。円高の進行、旺盛なインバウンドの効果がその強気の見方の根拠だ。株価は業績低迷を反映して1800円割れとかなり落ち込んでいる。2024年10月期の営業益浮上が見えてきたところで株価が反転上昇に向かうだろう。

新NISAにピッタリの安定した投資先

新NISA制度による投資資金の流入先は安定した業績、株主還元が手厚い銘柄となりがちだ。通信大手のKDDI(9433)は安定した業績に加え、連続して増配、配当利回りは3%を超える。主力の通信事業は顧客数、単価ともに上昇し、安定した成長ぶりを見せている。業績も右肩上がりで、最終益は連続して最高益を更新し続けている。

株価は2022年5月に4636円の高値をつけたあと、2023年には調整。初頭には4000円割れも示現したが再び上昇局面へ。現在は4400円の水準をキープしているが、さらなる上値を追う展開となる。

 

高配当かつ営業利益変化率10%以上の銘柄にLIXIL(5938)がある。トステムやINAXなど5社が統合した住宅設備の国内最大手だ。2023年3月期は営業益レベルで低迷したが、底打ちし2024年3月期、2025年3月期と急回復。配当利回りは5%を超える。予想PER(25年3月期)は18倍、PBRは0.8倍。繰延税金資産計上がなく最終減益だが、本業は好調だ。しかも株価は、業績の回復をまだ折り込んでいない。

2021年秋の3200円超水準から右肩下がり。現在の1700円水準は底値圏と見るべきだろう。中長期で持てば報われる銘柄だ。

ニッチな株主還元銘柄

フォトマスク専業のエスケーエレクトロニクス(6677)は株主還元にも力を入れている。スマートフォンなどに使われる有機ELパネルが液晶にとって替わり、中国では第6世代の液晶パネル工場が着工、韓国では第8.6世代有機パネル工場の新設計画、国内では新方式の有機ELパネルの量産計画が発表されるなど市場は好転している。

 

業績も絶好調。売上も伸びているが、営業利益の伸びもめざましい。2022年9月期の営業利益は前年より倍増の38億円。2023年9月期の営業利益(計画)は25%増の47.8億円だ。

11月に発表された中期経営計画ではいずれ配当性向を50%にするという(現行20%)。

株価は8月に配当予想を33円から144円に増配すると発表したところから急騰。さらに市場は11月発表の中期経営計画を好感して、さらに株価を押し上げた。ようやく3500円を上回ったところだが、これから押し目があるとすれば絶好の買い場となるだろう。

 

大好調の意見

 あれこれよさそうな話をしているが、今年は新年早々に能登大地震が起こり、今日は羽田空港でJAL機と海上保安庁機の衝突事故が発生した。こんな年は珍しい。先行き不安な年の初め也。、