【森永卓郎の本音】高齢者ヘイト

報知新聞社 - 1 時間前

2023.1.28

 

 岸田政権は、新型コロナの扱いを5月8日に2類相当から5類相当へと引き下げる。確かに感染第8波の感染者数は、すでにピークアウトしているが、死亡者数は高水準が続いており、第8波だけで累計2万1000人を超えて、東日本大震災の死亡者数とほぼ並んだ。それにもかかわらず政府がコロナ規制の緩和を急ぐ背景には、政治家は誰も言わないが、「高齢者が亡くなるのは仕方がない」と心の中で思っているからではないだろうか。実際、死亡者の9割は、70歳以上の高齢者だ。

 

 ある若手経済学者が日本経済の低迷を受けて、「高齢者に集団自決してもらうしかない」と発言したが、彼はその後もメディアに出続けている。例えば、同じことを障害者とかLGBTとか女性に対して言ったら、即刻アウトになるだろう。それが、対高齢者となると、言いたい放題なのだ。

 

 多くの若者たちが、賃金が上がらず、生活が苦しいのは事実だ。しかし、それは高齢者が社会的な権力を独占し、高額の社会保障を享受して、若者の生活を圧迫しているからではない。

 

私の周囲を見渡しても、低年金で暮らしがままならずに、アルバイトを続ける高齢者が圧倒的に多いのだ。ただ、歴史をみても、深刻な不況の下では、誰か悪者を見つけ出して、そのターゲットをバッシングすることによって、政権が国民に自分たちの正当性をアピールするということが、さんざん行われてきた。

 

 もちろん世代間対立はよくないのだが、このままだと高齢者が一方的に悪者になり、下手すると社会から抹殺されてしまうので、高齢者は、そろそろ立ち上がるべきだ。いまの高齢者の中心は、団塊の世代だ。彼らは、学生時代には全共闘として、闘っていた。その元気をいまこそ取り戻すべきではないだろうか。

(経済アナリスト・森永卓郎)

 

大好調の意見

 「このままだと高齢者が一方的に悪者になり、下手すると社会から抹殺されてしまうので、高齢者は、そろそろ立ち上がるべきだ。」とのことであるが、被害妄想ではないか。それに一体、立ち上がって何をしようというのだろうか。老人党を結成して政治改革でもするのだろうか。

 

新型コロナ感染症の蔓延によって高齢者の死亡が多くなったかもしれないが、蔓延が無くてもどうせ高齢になったための老衰死が少々早くなっただけである。新型コロナ感染しないように厳重に感染防御をして生活すればよいだけである。

 

それに、高齢者がいなくなれば、若者たちの介護や看護の仕事がなくなるばかりか、現在まあまあ元気で安価な賃金で働いて社会を支えている莫大な老人労働力がなくなれば社会が衰え、全日本人がこまるだけである。それも判らぬ愚かな若手経済学者など問題にするには及ばない。

 

少子化が激しく進行していく現代社会である。今の高齢者が死に絶えて若手経済学者が高齢者になった時にどんなことになるだろうか。労働力不足で社会が成立しがたくなり、先進国からずり落ちて、貧困国家、犯罪者天国の日本になっているのではなかろうか。

 

ところで、若者もそのうちに老人になる。その時に今の高齢者が蓄えた社会資本・経済力は乏しくなっているのではなかろうか。そんなことのないように祈りたい。昨今の犯罪者天国ぶりを見ると、未来にはそれが一層昂進しないかと恐ろしくなる。