@草津湯(東京都葛飾区) | DAIKON's Life

DAIKON's Life

Yahoo!ブログからの引っ越し組です。
だいこんが日々感じたことを、気の向くままに綴っています。






東京都葛飾区、小菅駅から徒歩10分ほどの場所にある「草津湯」に来ました。

営業時間は、火曜から土曜の16:30~17:30。
僅か一時間しか開いていない、なかなか訪問が難しい銭湯として有名なようです。

今日は、先に訪れた足立区の「玉の湯」から歩いて訪問。
15分ほど歩いていると、遠くに高くて立派な煙突が見えてきます。
住宅街に入ると、間近になってきた煙突が見え隠れするようになり、もうすぐ目的地に着くぞ!!という思いが募り、気分も高揚します(笑)

16:20。
既に入口の前には常連さんが3人。
そしてそれから間もなく、ご主人が入口を開けてくれました。
開いたと思ったら、どこからともなく洗面器を携えた常連さんが、まるで何かつっかえていたものが取れたかのようにどんどんやってくるではありませんか!!( ̄□ ̄;)

これは建物の写真を撮っている場合ではない。
早くしないとお風呂が満員になってしまう!!
写真撮影は後回しにして、まずはお風呂にピットインすることを優先しました。

入口は、年季の入った番台が鎮座。
当然のように番台式です。
矍鑠(かくしゃく)なご主人に挨拶をして入浴料を支払うと、

「ここが一時間しか開いてないの知ってて来たの?どこから?…へえ~、千葉県から!!遠いところ有り難う!!」

と、元気良く歓迎のお言葉をいただきました。
お遍路スタンプノートと帰ってきた!!ゆっポくんスタンプノートにも、元気良くスタンプを押してくれました。

広々とした脱衣所には、昔から使われているであろう扇風機、昔ながらのあの体重計、籘籠などがあり、昭和の雰囲気が色濃く残っています。
その一方でトイレはリニューアルされたらしく、広いバリアフリーの洋式が設けられています。

浴室は、その広さに圧倒されます。
特に、天井の高さが印象的です。
それゆえ、正面に見える中島絵師によるペンキ絵のスケールも特筆できよう大きさです。
男湯に描かれているのは「石川県 兼六園」。絵の左下にその旨が書き記されています。

また、男湯と女湯を仕切る壁には、連峰が緻密に描かれたタイル絵。
パノラミックな横長のタイル絵にも、思わず見入ってしまいます。

お風呂に入ったときは、湯船は常連さんでひしめいていました(笑)
皆さん、かけ湯をしたらまずは湯船で世間話のようです。

「今日は随分早いじゃないか!」
「俺が早いんじゃねえよ!あんたが遅いんだよ!!」
「昨日来てなかっただろ?心配してたぞ!!」

思わず笑ってしまうような常連さん同士の楽しい会話が、あちらこちらから聞こえてきます。

自分はいつものように、まずは体を洗うことに…(^^;

体を洗い終えて、いざ入浴!!
井戸水の湯あたりがとても柔らかく、適温と言うことも相まって、とても気持ちのいい入浴を楽しめます。

すると、どこからともなく常連さんから声をかけられます。
見かけない顔だから一発でわかりますよね(笑)

「お兄さん、風呂を巡って旅している感じなのかい?」
「今日は旅ではありませんが、仕事の現場が綾瀬で近かったから来ました!」
「そりゃあいいところで仕事があったな!ここが一時間しか開いてないの知ってたのかい?知らないで夜遅くに来て帰っちゃう人もいっぱいいるんだよ。インターネットで調べればわかるんだろ?」
「ええ、勿論調べたから来ましたよ!何だか余所者がお邪魔しちゃってスミマセンねぇ(笑)」
「うちら年寄りは割引(240円)で風呂に入っているけど、お兄さんみたいな人はうちらの倍くらい(470円)払っているんだから上客だよ!!ゆっくりしていってな!!」

裸の付き合いは、一度湯船に浸かれば何もかも丸く収まります。
いやぁ、優しい常連さんのお陰で醍醐味を肌で感じることができましたよ。
優しい常連さんばかりということで「草津湯」がいかに愛されているかが、本当によくわかります。

常連さんは、皆同じタイミングで湯船から出て、皆同じタイミングで洗い場で体を洗い始めました。
先程までの会話はいっぺんに止まり、皆黙々と一心不乱に頭や体を洗っています。
中には背中を流し合う常連さんもいました。

先に体を洗っていた自分は、湯船に一人取り残されます(笑)
しかし、この光景を湯船独り占めで眺められるのは、至福のひとときと言わずに何と言えば良いのでしょう。

お風呂を出てからは番台のご主人と少しお話をさせてもらいました。
「草津湯」のペンキ絵は、昔から一貫して中島さんに頼んでいること。
富士山は一時間で描き上げるけれど、兼六園のペンキ絵は日本でここだけだから、描くのに四時間くらいかかること。
今のペンキ絵は一年くらい前に書いてもらった。ここではだいたい4~5年に一度描きかえてもらっていること。
スケール感溢れるご自慢のペンキ絵について、事細かく教えてくれました。

自分は「昭和の銭湯」を経験したことはありませんが、きっとここには「昭和の銭湯」の空間、雰囲気が色濃く残っている場所であるのだろうと強く感じました。

一時間470円で昭和へのタイムトラベル…一人でも多くの方に時間旅行をしていただきたいです。

本当に語り尽くせない、素敵なひととき、素敵なお風呂でした。
ご主人さん、これからもどうぞお元気で!!
有り難うございました!!