
仁木 一郎 著
大学の医学部で学問と向き合う著者が、15年間にわたり研究室のホームページや主宰した留学仲間との交流誌などに執筆したすぐれた文章。学内外に寄稿したエッセイ集である。
折々に感じたこと、発見あり、洞察あり、旅あり、音楽ありの示唆に富んだ内容。
学生との係わり、人を育てることに心を砕き、先達から受けた影響や外国の研究者とのエピソードなど、知的な愉しさに溢れる。
”これから医者になろうとする人たち”へ医者は説明業であると説く。
人にモノを説明するには、読書が大切であることなど。
4年間に及んだオックスフォードでの留学体験を楽しい「いろは歌留多」に―――。 異文化に接した驚きと感動、そこはかとない可笑しみをイラストと共に描く。
著者プロフィール
仁木一郎(にき・いちろう)
愛知県岩倉市出身。
名古屋大学医学部、名古屋大学大学院を卒業後、
英国オックスフォード大学に留学。
名古屋大学医学部助教授などを経て、
現在、大分大学医学部教授。
専門は薬理学・糖尿病学。
四六判 275頁
定価:
本体 1700円 +税
-----------寄せられた読者の声-------------
・帯にあるように上質なユーモアに浸ることができました。
作者に拍手をおくります。
・仁木先生は立派な方ですね。年に一度、英国へ行く機会があり、地名とユーモアのあ る話にとても親しみがもてました。
・文章がなめらかですっきりして読みやすい。
・上品で魅力的な本ですね。
・しかし話題が豊富ですね。著者の高い教養に感心させられます。
・こういう先生に教わる学生は幸せですね。 ・随所に知的ユーモアが溢れています。 読んでいて楽しい。
・目次を見たり本文を見たり楽しませていただいています。
・著者には、好奇心と感性が零れんばかりに満ち溢れている。
・すばらしいエッセイと思います。よくありがちな自慢話や
罪滅ぼしとは全く異なるさわやかなさに好感がもてます。
・人生の充実がすばらしい。こういうエッセイが書ける人は、大したものですね。
・非常に優れたエッセイと思います。
エッセイは、書いた人の人生観や世界観がそのままに映し出されて面白い。本書はまず読後のさわやかさにある。
大学のキャンパスで学生と係わり、ラーメンの食べ歩きからりポートを書く、市場へも連れ出す。人を育てるということをかなり真面目に考えている。
著者はそのような仕事を細やかな神経でこなしながらも、合わせて日々の生活を、ひいては自身の人生をじっくり楽しむ筋金入りの趣味人である。いわば「人生の達人」である。
体内には、きっと「好奇心や感性」が、満ち溢れていることだろう。音楽に親しみ演奏もし、本を読んで教養を広め、落語を愉しみ、スポーツにも目を向け、また、学生と市場にも出かけ、面白いと思う風景をカメラに収め、食材を調達し、魚をさばいて調理する・・・。こういった生活の諸相の中で、さまざまな人たちとの語らい、交流が広がっていく。
海外の研究者との交流に友情がいくつも育まれているという。さらに、こういったワクワクするような毎日の生活や人生の中から垣間見えてきたことや、次々に頭に浮かんでくる思いを、自分なりのことばで書き綴る・・・。しかも、ことばの持つ妙味や不思議さや面白さにも気づき、またそれにも触れながら、すらすらと流れるような筆致が心地よい。
これは、いわば「心の足し算の人生模様」の具体例が数々。一般の人にも読後には爽やかな涼風のようなものを感じる一冊だ。
昨今、閉塞感が漂う日本社会では、若者たちの未来への希望や夢も薄れがち…。人生の達人から教わる学生は、実に運が良くて幸せだ。しかも教室や研究室の中だけではなく、ライフスタイルを共にしながら、五感のすべてを通して学生たちが自分の身体に、医者としてまた人生では何が本当に大事なことなのかを沁み込ませていく。これこそ究極の教育のあり方だと思う。そこから数々のインスピレーションを得た医学生たちが、患者の身になって診てくれる温かくて立派に育っていくのだろう。
学生でない人たちには、この珠玉のエッセイ集から、奥行きと広がりのある人生の過ごし方の極意をぜひお裾分けしてもらうといい。仕事だけの灰色一色ではない、まるで七色の虹のような「総天然色の生き方」になるヒントを、きっとあちこちで拾えるはずだ。 西沢 翔(フリーライター)
書店または こちらへ