有岡くん -2ページ目

有岡くん

有岡くんへの想いです。

缶コーヒーを並べて、立てた。



車が動き出す。





『どこか、行きたいとこある?



って、疲れたかな?


帰ろうか』




「・・・うん。」




暗い車内に、やわらかいコーヒーの香りがする。



「あのね、」



『ん?』


「なんでもない」


『話しにくいなら、別に無理をしなくていいよ』


「・・・。」



私は、黙った。



何かを言いかけて、



飲み込んだ。






大貴のそばにいて、

毎日を一緒に過ごしているが、




雑誌、テレビで活躍する彼を

見ることができなかった。




この3か月、

彼のサポートに徹し、

自分の仕事をこなし、


余裕のない毎日が、

ただ過ぎていた。




・・・・・・・・・・・・・・


帰宅して、

入浴を済ませた。


先に済ませた彼が、

リビングでパソコンを開いていた。



『ねえ、おいでよ』



「え・・・、うん。」



大貴の横に座った。



じっと見つめられると、

恥ずかしい。







『何があったの。』


「え、」






『浮気?心変わり?

俺じゃだめなの?』





「そんな・・・」



『俺にも言えないこと?』



急に、雲行きが怪しくなる。



私は、

頭からかぶっていたタオルで顔を隠した。





『無理させてきたから?


もっと、オープンにしたほうがいい?』



近づく低い声。


いつもの、彼とは違う。






「いいの、ごめんなさい。


大丈夫、私・・・」




そこまで、声にすると



大貴が私を抱きしめてくれた。




『みき、俺がそばにいるのは


だめ?


俺、みきのこと愛してるし、


これからもっと守るから。』




彼の言葉が


私を包む。




「私、少ししんどくて。


あなたは有岡大貴くんで。



どんどん活躍するのに、


私なんかが

あなたの近くにいてもいいのかなって



自問自答ばかりで。


答えが出ないから、

ひたすら悩んで。



毎日のことをするのが精いっぱいになってきて。



でも。」




私は、彼の手を握って一気に吐き出した。



「でも、私は、あなたが好きで。


それだけは変えられなくて。




ごめんなさい。」




大貴は、私をもう一度抱きしめて、


やわらかい感触をくれた。






本当に大切なことは、



自分の気持ちを大切にすること。



相手に、気持ちを伝えること。








『みき、俺も悩んでるんだよ。


でも、仕事はあるじゃん。


元気でいろんなことができるのは、


みきのおかげだよ。


ありがとう。』




私は、まっすぐ彼を見つめ


彼も私を見て、




お互いに笑った。




「オープンには、しないでください。


あなたは、有岡くんだから。



私、そばにいられて


うれしいの」







私から、やわらかい感触を求めていく。




彼は私に応えてくれる。