この記事は、穂吉のブログの「2012-06-18 15:48:45」にUPした『日本の神話35. ~第二部 芦原中国の神々~  =第一章 大国主命様=』という記事を再編成してUPしています。



最初のお話し 『日本の神話01』     前回のお話し 『日本の神話34』



 須差之男命は、また次なる難題を言い渡しました。

『大穴牟遅よ。鳴鏑の矢(なりかぶらのや)を今から放つ。この広大な野の何処かに落ちるはずである。それをお前は探してまいれ。』

 須差之男命はそう言うと、力強く鏑矢を放ちました。そして放たれた鏑矢は、轟音と共に遥か彼方まで飛んでいったのです。

 大穴牟遅神は、遥か彼方に飛び去った鏑矢を探しに、高い枯草で覆われている荒野に分け入りました。

 そして大穴牟遅神が、枯れ野の奥まで行かれた事を確認した須差之男命は、なんと今度は枯れ野に火を放ったのです。炎は、瞬く間に大穴牟遅神を取り囲むように燃え広がっていきました。

『このままでは、私は焼け死んでしまう。』

 大穴牟遅神が途方に暮れた、その時です。

 足元から小さな声が聞こえてきました。

『内は、富良富良(うちは、ほらほら)。外は、須夫須夫(そとは、すぶすぶ)』

 と、小さな野鼠が地面を指しながら言っていたのです。

『何のことだ』

 不思議に思いながら足を一歩踏み出した途端、地面が崩れ、ぽっかりと空いた地下の空洞に、大穴牟遅神は落ちてしまいました。

『これは何としたことか。しかし、おかげで助かった。』

 大穴牟遅神は野鼠に感謝し、炎が頭上を通り過ぎるのを待ちました。



- 追 記 -

『鳴鏑の矢(鏑矢(かぶらや))』の先端部分は、木や獣の骨を削り、まるで野菜の『蕪(かぶ)』の様な丸みを帯びた形をしています。
更にその丸い部分に穴をあけたり、内部をくり貫いたりして、矢を放った際に大きな音が鳴るように細工されています。
『戦(いくさ)』の始まりを告げる時に用いられた「音の出る矢」のことでもあります。



ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

おしまい。
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