なぜ一橋大学志望になれたのか(やる気の育て方) | 大学受験対策のプロ

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昨年の高3の生徒は

最終的には一橋大学を受験しました。

 

結果は残念ながら合格出来ませんでしたが

高1の段階で第1志望だった九州大学法学部を

蹴って中央大学法学部へ合格したので

一番最初の目標は十分に超える結果になったと言えます。

 

そこで、今回皆さんにお伝えしたいのは

1人の高校生が、どうやって高い志望校を目指すようになり

やる気を伸ばしていったのか、というのを

お話してみようと思います。

 

彼は高1の春の時点では、

漠然とした感じで第一志望は「九州大学の法学部かなぁ」

と言っていました。

 

彼は地元のごく一般的な公立進学校の生徒で

そこそこ上位にいる生徒でした。

 

その高校では高1の段階では

かなりの生徒が第一志望を「九州大学」と言います。

実際にはその中から最終的に九大に本当に入る生徒は

ほぼ2~3人でしょう。

 

つまり殆どの生徒は高1の時点では高望みしていて

高3になると現実の厳しさに直面して

九州大学には到達しません。

 

そんな中、恐らく彼も、私から習っていなければ

多くの生徒と同じ道を辿っていたでしょう。

 

では彼は、私から習うことで、

他の生徒とどう違っていったのか。

 

それは、前回まで話した通り、

彼には圧倒的な「成功体験」があったからです。

高校生は成功体験をすると欲が出て勉強に熱心になります。

 

彼の場合は、その最初のキッカケは

高1の7月の進研模試でした。

 

私は進研模試対策を十分に出来るので

彼には万全の状態で7月の進研模試に挑んで貰いました。

 

残念ながら詳しい偏差値は記録として残っていないので

申し上げられませんが、ザっとしたイメージでは

英語も数学も偏差値70後半(80に届かないくらい)でした。

 

当然、大学の判定は九大はA判定、阪大もA判定。

何となく本人が志望校に入れていた一橋がBかC

だったように記憶しています。

 

当時その生徒は、予想外に良い成績が出たので

驚いていました。

 

それが良いモチベーションに変わったのか

勉強の仕方ももっと良くなっていきました。

 

そして11月と1月の進研模試では

英語は偏差値70後半、数学は80を超えるようになりました。

その時の彼の言葉は忘れもしません。

 

私が進研模試の結果はどうだったかと尋ねると、

「先生、えげつない結果がでました」と

言っていたのです。

 

多分、嬉しいを通り越して

自分の結果に驚き過ぎていた印象でした。

 

志望校の判定では

九大は常にA、阪大も常にA、そして一橋がBかC、

東大はCかDといった感じが続いていきました。

 

そうすると、第一志望が九州大学だった彼が、

高1の終わりのある日、こう言いました。

「先生、第一志望を一橋にしようかと思います」と。

 

私は彼に言いました。

「九大を目指すのと、一橋を目指すのでは

全くレベルが違うから、劇的に大変になるよ?」と。

 

九大なら、この調子で行けば入れるけど

一橋というならば、高2からは別次元で習っていかないと

まずたどり着けないけど、その覚悟が出来るかい?と。

 

すると彼は「頑張りたいです」と答えました。

 

彼をやる気にさせたのは

やはり模擬試験の判定の結果だったんです。

 

まず模擬試験で良い結果が出ることで

勉強に対するモチベーションが変わりますが、

何より大きかったのは、判定結果です。

 

九大が常にAになって当たり前になると

本人の中で、目標を定める目線が変わっていくのです。

 

人は誰でも自分が簡単に手が届くものよりは

頑張らないと届かないモノに憧れるし希望を持つものです。

 

そうして高2からは別次元の進度で学力を上げていきました。

 

当然、壁は沢山ありました。

本人がこれまでやった事がないくらい厳しい取り組み方を

身に付けさせていきました。

 

習い始めた中3の頃は、親御さんから

「この子は躓くとすぐ根を上げる子なんです」と聞いていました。

 

しかし目標を持ってそこに向かおうとする人間は強いです。

心が折れそうになる所で、私は何度も背中を押してあげて

踏ん張れるようにフォローしていきました。

 

そうすると、本人も見る見る強くなっていきました。

 

高3の後半になると、彼は物凄くストイックな人間へと

すっかり変わっていました。

 

卒業した後に親御さんから聞いた話では

「先生から習うようになって、勉強が趣味なんじゃないかってくらい

いつも机に向かうようになりました」と。

 

自ら高いモチベーションを持つようになった生徒というのは

やらされて勉強する生徒とは比較にならないほど

習熟度が上がっていきます。

 

そしてその原動力になるのは成功体験、

つまり模擬試験での結果なんです。

 

定期テストの結果では、学年順位や高得点を取る快感しか

得られません。

 

しかし模擬試験の結果は、それ以上に

「自分がどの大学に手が届くのか」を明快に伝えてくれます。

 

これが何より本人にとっては

現実を見定める大きなキッカケになるのです。

 

お子さんに勉強をさせたいけど

なかなか危機感を持ってくれない。

 

その場合に

「勉強しないと後で大変な事になるよ?」は

10代の子達には響きません。

なぜならば、大人のような危機感がまだ

発達していないからです。

 

子供達にとっての特効薬は

何より「成功体験」なのです。

 

そして大学受験において

その第一歩は、模擬試験の判定結果だと

自分は思います。