緊急事態宣言の「解除」、法令上はどう表現されている? | いくつ知ってる?法律トリビア【第一法規】

いくつ知ってる?法律トリビア【第一法規】

このブログでは、第一法規が、日常生活ですぐに役立つ…とは限らない法律のトリビアを発掘していきます!

 

 

 

 

こんにちは、第一法規「法律トリビア」ブログ編集担当です!

 

およそ1ヶ月半にわたった緊急事態宣言が先日解除され、

感染予防に気をつけながらも、外に出る機会が増えてきました。

さて、この宣言の「解除」ですが、報道を見ていると、

「緊急事態宣言」を解除したと表現している場合と、

「緊急事態」を解除したと表現している場合とが見られました。

そこで、法令上はどのように書かれているのか気になったので、確認してみました。

まず、宣言とその解除の根拠となる「新型インフルエンザ等対策特別措置法」を見てみると、

次のように規定されていいます。
 

新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)
(新型インフルエンザ等緊急事態宣言等)
  第32条第5項 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等緊急事態宣言をした後、新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認めるときは、速やかに、新型インフルエンザ等緊急事態解除宣言(新型インフルエンザ等緊急事態が終了した旨の公示をいう。)をし、及び国会に報告するものとする。


これを見ると、「緊急事態解除」の宣言と書かれています。
法律上は、緊急事態を解除するという書き方になっているのですね。

さらに、先月25日に、官報の号外が発行され、そこに掲載された公示を見てみると、

 

以下のように書かれています。
 

新型コロナウイルス感染症緊急事態解除宣言に関する公示(令和2年5月25日官報号外に掲載)
  新型インフルエンザ等対策特別措置法・・・に基づく新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言(令和2年4月7日公示)について、緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認めるため、・・・緊急事態が終了した旨を宣言し、これを公示する。
  令和2年5月25日    新型コロナウイルス感染症対策本部長 安倍 晋三


これを見ると、題名には「緊急事態解除宣言」と書かれていますが、

本文には、「緊急事態が終了した旨を宣言」と書かれています。

法令上の書き方としては、

「緊急事態」が「終了」した。そのことを「宣言」する。

という形になっているのですね。


(この記事は、2020年5月25日時点の法令情報に基づいています)