こんにちは、第一法規「法律トリビア」ブログ編集担当です
平成の法律を振り返る、「平成プレイバック」シリーズ。
今回は、平成10(1998)年にできた法律を振り返ってみましょう。
この年は、冬季オリンピックが長野で開催されました。
スキージャンプ団体で、原田選手が最後に驚異的な大ジャンプを飛んで、
金メダルを獲得したシーンは、覚えている方も多いと思います。
また、政治の関係では小渕内閣が発足し、社会的な事件としては、
和歌山で毒カレー事件が起きた年でもありました。
◯NPO法人の制度ができた
ボランティア活動などの話題で、「NPO法人」という言葉をよく耳にしますね。
この「NPO法人」は、正式には「特定非営利活動法人」と呼ばれるもので、
平成10年に作られた「特定非営利活動促進法」によって定められました。
法律の目的を見てみましょう。
(目的)
第1条
この法律は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること並びに運営組織及び事業活動が適正であって公益の増進に資する特定非営利活動法人の認定に係る制度を設けること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的とする。
このように、この法律は、ボランティア活動など、
市民が行う社会貢献活動が発展することを目的としています。
そして、NPO法人を設立するときの手続きや、
法人の運営に関するきまりなどについて定められています。
◯中部国際空港について定めた法律
愛知県にある中部国際空港、愛称「セントレア」は、
1年で1100万人が利用(2017年度)する大規模な空港です。
中部国際空港は、2005(平成17)年にオープンしましたが、
この中部国際空港について定めた「中部国際空港の設置及び管理に関する法律」が、
平成10年に制定されました。
この法律は、中部国際空港の整備に必要な資金についての規定や、
空港運営会社の事業の内容、空港運営会社に対する国の監督などについて定めています。
◯ゆとりある住宅を増やそう
大都市地域を中心として、ゆとりある住宅が不足している状況をふまえ、
農山村地域や都市の近郊などで優良な住宅の建設を促進することを目的として、
「優良田園住宅の建設の促進に関する法律」が制定されました。
この法律と、その下にある政令では、「優良田園住宅」とは、
次の要件に当てはまるものをいうとされています。
・敷地面積 300㎡以上
・建ぺい率 30%以下
・容積率 50%以下
・3階建て以下
(優良田園住宅)
第2条
(法第2条第1号の政令で定める規模)
第1条
第2条
第3条
そして、優良田園住宅を促進するため、税制上の措置を講じることなどが定められています。
優良田園住宅については、国土交通省のHPに説明がありますので、ご参照ください。(http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/denen/yseido.htm)
◯被災者生活再建支援法
平成7年に発生した阪神・淡路大震災から3年が経っていましたが、
まだこの時点では、2万世帯を超える方々が仮設住宅に入居していました。
そこで、自然災害の被災者の方々が生活を再建できるように、
支援金の制度を設けることとなり、それが「被災者生活再建支援法」という法律に
定められました。
◯日韓ワールドカップサッカー大会のための法律
2002(平成14)年に日韓共催で開かれたワールドカップサッカー大会について、
その準備・実施のための法律「平成十四年ワールドカップサッカー大会特別措置法」が
制定されたのは、この年でした。
この法律では、大会の準備や運営の資金として、
寄付金付きのお年玉付き年賀はがきの寄付金収入を充てることができるなどの規定が
置かれました。
◯中心市街地を活性化させよう
地域の中心となる市街地の空洞化が進んでいたことから、その活性化が課題になっていました。
そこで、中心市街地を整備・改善し、商業などを活性化させるため、
「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律」が
制定されました。
なお、この法律は、
現在は「中心市街地の活性化に関する法律」という題名に改正されています。
この法律では、市街地の整備を進めるため、整備の際の手続き上の特例や、
整備に必要な資金の確保策などについて定められています。
◯地球温暖化対策に取り組む
前年の平成9(1997)年、地
球温暖化防止について世界中の国が集まって話し合う「京都会議」が開かれ、
二酸化炭素などの温室効果ガスの削減目標を定めた「京都議定書」が採択されました。
一方、日本では、二酸化炭素の排出量は増加しており、対策を講じていく必要がありました。
そこで、「地球温暖化対策の推進に関する法律」が定められました。
この法律では、国や地方公共団体が計画を定めて、
温室効果ガスの排出量の削減に取り組んでいくこと、
また、事業者も、温室効果ガスの排出量の削減の計画を定めるよう努力することなどが
規定されました。
(この記事は、2018年9月5日時点の法令情報に基づいています)
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いかがでしたでしょうか。
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是非、次回もお楽しみに
by 第一法規 法律トリビア編集担当