寺務所の掲示板に、毎日貼り出される法務予定表。住職と弟子たちのお参りや、時間に宗派と施主名それに細かい指図が書かれている。
一昨日までは一件しか入ってなく、この調子なら紅葉が楽しめるかなと期待した。それが昨日になると二件になり、今日は七件になっているではないか。それにアポなしの飛び入りの依頼があったりと、住職は予定が立てられない。
法事のAさんはお経の後、お茶を飲みながら「この位牌の字を見るたびに嫌になる」と言われる。以前お付き合いのあった寺の住職が書かれた繰り出し位牌。
『書き直してもいいですよ』の言葉にホッとしたのか、笑顔になり「お願いします」この住職とはいい思い出がなく、【坊主憎けりゃ袈裟まで憎い】ではなく、【住職憎けりゃ位牌まで憎い】終いには【住職憎けりゃ御本尊まで憎い】となりかねない。