iPS細胞から作った心筋シートを使った手術の経過が良好だ、というニュースがありました。
久しぶりに、心からうれしくなるニュースです。

 

  実用化されて初めての手術

 

報道によると、iPS細胞から作った心筋細胞シート「リハート」を、
重い心臓病の患者さんに初めて移植した大阪けいさつ病院が、10月21日に会見を開きました。

手術は9月29日に行われ、約50分で終了。
手術を受けた神奈川県の50代の女性は、術後1週間ほどで呼吸が深くできるようになったそうで、
22日に退院の予定とのこと。
症状は数か月かけて少しずつ良くなっていく見通しだそうです。

会見で女性が語った「まずは犬の散歩に行きたい」という言葉に、こちらまで温かい気持ちになりました。

 

  承認されても、まだ道の途中

 

リハートは、大阪大学発のベンチャー「クオリプス」が開発したものです。
今年3月、住友ファーマのパーキンソン病向けの製品「アムシェプリ」とともに、
iPS細胞由来の製品として世界で初めて承認されました。

ただし、どちらも「条件・期限付き」の承認で、いわば仮免許の状態。
クオリプスは本承認に向けて、7年以内に75人の症例を集める計画だそうです。
アムシェプリも5月に保険適用が決まり、秋以降に治療が始まる見込みと報じられています。
 

実は今から10年以上前、再生医療関連の会社に勤めていたことがあります。
再生医療の会社は、どうしても多額の研究開発費が必要です。
製品ができても上市までにさまざまな試験が必要で、今回のように承認されたあとも、
さらに検証を重ねなければなりません。
本当に長い年月がかかる世界です。

 

  当時から有名な澤先生

 

今回の手術を手がけたのは、大阪けいさつ病院の総長を務める澤芳樹先生。
当時、再生医療の勉強をする中で知った、大阪大学医学部の有名な先生のお一人です。

澤先生のグループは2008年から京都大学の山中伸弥教授と共同研究を始め、
2020年には世界で初めて、iPS細胞から作った心筋シートを患者さんに移植する治験を行っています。
山中教授がiPS細胞を作ってから約20年。ようやく、一般の患者さんに届く段階まで来たわけです。

西洋医学でも東洋医学でもない、体がもともと持っている再生する力を引き出す治療。

医学も進歩しますね。

これから一人でも多くの患者さんに、この治療が届くことを願っています。

 

参考:
iPS細胞の実用化手術 経過は良好(Yahoo!ニュース)
iPS心筋シート『リハート』 手術を受けた患者が会見(MBSニュース)
iPS由来2製品を承認‐条件・期限付(薬事日報)