耳が不自由でも楽しめるミュージカル セリフと歌を字幕で表現「観劇バリアフリー」/産経新聞記事・2024年5月12日


聴覚障害者にも観劇を楽しんでもらおうと、愛媛県東温市のミュージカル専用劇場「Great Sign坊っちゃん劇場」が字幕付き公演を始めた。舞台脇に大型スクリーンを設置、役者の動きや歌に合わせてセリフや歌詞が表示される仕組み。導入後初の公演に招かれた県立松山聾学校の生徒らは「ストーリーがよく分かった」と舞台芸術を楽しんだ。こうした障害者向け「観劇サポート」の取り組みは全国的にも徐々に広がっており、障害者支援団体も「環境は少しずつ整ってきており、喜ばしい」としている。

巨大スクリーンに表示
「僕はみんなと必ず甲子園に行く!」

4月25日、坊っちゃん劇場で上演されたミュージカル「KANO~1931甲子園まで2000キロ~」の1シーン。舞台上の俳優が大きな身ぶりとともにセリフを発すると、ほぼ同時に日本語字幕が巨大スクリーンに表示された。字幕はミュージカルの特徴ともいえる俳優が歌う劇中歌の歌詞やナレーションも表示され、観客は舞台と字幕を交互に見ながら観劇を楽しんだ。

同校高等部2年の芝野聡汰さん(16)は「以前見た舞台は字幕がなかったけれど、今日はストーリーがよく分かり、想像の10倍以上すごかった」と興奮気味に話した。

同劇場は昨年8月、台湾からの団体客受け入れに合わせて機器を導入、事前予約制で外国語の字幕表示を開始した。今回の聴覚障害者向けについては、県内の障害者支援団体から助言を得て、音声や音楽、背景の環境音なども文字で表示するようにした。オペレーターが舞台の進行に合わせてその都度、表示を更新していくことで、役者の演技とのズレを防いでいるという。


産経新聞記事・2024年5月12日
https://www.sankei.com/article/20240512-NFBMMAUUT5IZLLPL2L6J7FSAIQ/