入学式で初の手話導入、九大 通訳した学生「当たり前の環境に」/朝日新聞デジタル記事・2024年4月4日

 

「手話は言語」と定め、手話を使いやすい環境の整備をめざす福岡県手話言語条例が昨年制定されたことを受け、九州大学伊都キャンパス(福岡市西区元岡)で3日にあった入学式で、初めて手話通訳が導入された。

 入学式では、国の試験に合格した手話通訳士のほか、手話を学ぶ九大生2人が通訳を務めた。

 その1人、法学部2年の白水愛彩さん(19)は、院生2532人が参加した式典で、司会の通訳を担当。「感情を込めよう」と意識した通り、手だけでなく口や表情も使って豊かに伝えた。

 白水さんはろうの両親を持つ。昨年の自身の入学式では、式典時に両親が状況を把握できるか不安だった。九州大では支援を必要とする学生を学生が支援する「ピアサポーター」が約30人おり、例年式典の内容を字幕で伝える活動をしていると聞き安心した。

 入学後、自身もピアサポーターとなり、手話を学んだ。「家庭では手話を使っていたが、両親に習ったことはなく、我流なのではないかと心配だった」という手話だが、参考書を買いそろえて本格的に学び、「社会生活全般を話題に手話で平易な会話ができる程度」とされる全国手話検定2級を取得した。入学式に向け、鏡をみながら感情を込めて手話をする練習を積んできたという。

 この日、仕事を休んで式に駆けつけた母親に「良かったよ」と伝えられ、ほっと安心した。式後、「配慮して『くれる』のではなく当たり前に手話通訳がある環境に一歩近づけた」と語った。

 今回の手話通訳を提案したキャンパスライフ・健康支援センターインクルージョン支援推進室の下中村武助教は、「必ずしも(手話を必要とする)当事者だけに向けた取り組みではない」という。「共生社会であるために手話通訳をつけることが当たり前にあるべき配慮だと知ってほしい」と狙いを話した。

朝日新聞デジタル記事・2024年4月4日

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