諏訪市議会は28日、市議会3月定例会一般質問に手話通訳を初めて導入し、議員と市側のやりとりを市民に手話で伝えた。聴覚障がい者への情報提供を巡る議論を聞いた諏訪市豊田小川の会社員、馬留友行さん(54)は「諏訪地域では手話への理解が進んでいないと思った」と率直な感想を述べ、手話言語条例の制定に期待を寄せた。

市議会のホームページで小山博子議員が聴覚障がい者の情報取得を取り上げると知り、全諏訪聴覚障がい者協会会長の妻恵美子さん(50)の代理で初めて訪れた。馬留さんから議会事務局に手話通訳の依頼があり、市民課の手話通訳士、味澤奈緒美さん(39)がサポート役を務めた。

味澤さんは議場を背にして傍聴席の馬留さんと向き合い、手話で質疑応答の内容を伝えた。馬留さんは「手話言語条例の話が聞きたくて来ました。平成18年の豪雨災害では近所の人に筆談で逃げろと教えていただいた。手話は言語。手話が普及してバリアフリーの社会になれば。小山議員と話してみたい」と語った。一般質問の持ち時間が50分のため、手話通訳士の負担を心配していた。

小山議員は「興味を持って足を運んでいただいたことがうれしい。手話言語条例についてもっと勉強して、会派の中でも話題にしたい」と背筋を伸ばした。

市議会では車椅子用階段昇降機を傍聴席入り口に整備し、託児にも対応している。横山真議長は「市議会ではDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めている。全ての人が平等に見たり聞いたりできて、まちづくりに参画できる環境を整えていきたい」と力を込めた。
長野日報WEB記事・2024年2月29日 

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