コロナ禍だからこそ筆談を 理解広める耳マークバッジ誕生 和歌山/毎日新聞記事・ 2021年5月6日

 

 和歌山県中途失聴・難聴者協会が、筆談によるコミュニケーションを社会に広めようと「耳マーク」入りのオリジナル缶バッジを製作した。聴覚障害者は声を出すことが苦手な人も多い。バッジを身に付けることで相手に筆談が必要と示し、配慮を求める意味がある。耳が不自由なこと、耳が不自由な人への配慮を示す「耳マーク」は、制定されて半世紀近くがたつ。なぜ今、バッジを作るのか。ここにも新型コロナウイルスの影響があった。

 「耳マーク」は全国統一のデザインで、1975年に名古屋市で制定されて広まった。協会によると、県内でも郵便局や銀行、病院などの窓口に表示板が設置されたり、シールが貼られたりしていて、筆談に応じる意思表示となっている。しかし、協会の中筋久子会長(62)は「和歌山市以外で設置、掲示が進んでいないのに加え、聴覚障害者がマークを指さして筆談を求めても、窓口の人などに理解してもらえないことがある」と現状を説明する。なお、社会への浸透に課題が残っているようだ。

 

 

親しみやすいデザインに
 協会オリジナルのバッジは、耳マークに加え県に使用を申請して県PRキャラクター「きいちゃん」をあしらい、子どもにも親しみやすいよう工夫した。まずは普段からバッジを身に付けることで、耳マークを見てもらう機会を増やし、認知度を高める狙いだ。「筆談してください」「筆談お願いします」といった文言も添え、耳マークの意味を改めて周知する。一方、「筆談します」と応じる側のバッジも用意。4月末までに4種類計400個を製作した。バッジと同じ趣旨で提示するカードも200枚つくり、今後、協会員や店舗などに配る予定だ。

 聴覚に関する障害は外からは分かりづらい。周囲の音のみならず、自分の声も聞き取りにくいこともあり、発話を控えて誤解を受けたり、トラブルに巻き込まれたりすることもあるという。聴覚障害者の中には、口の動きで相手の発言を理解できる人もいる。しかし、新型コロナの影響で広まったマスク着用の習慣で、手段を封じられる場面が格段に多くなったという。筆談の重要性が、より高まっていて、中筋会長は「マスクのせいで何を言っているか分からず、これまで以上にコミュニケーションが難しいのが聴覚障害者の置かれた状況。筆談は資格もいらず、誰でもできる心遣い。バッジが少しでも役立てば」と期待する。


毎日新聞記事・ 2021年5月6日
https://mainichi.jp/articles/20210506/k00/00m/040/131000c?fbclid=IwAR1htm6MWa5mQTuiKmZH1eLQWkwCyInRoZGLD1YMGW-Smvc0qNjSQuXedOk