お祝いや縁起の良いものの象徴として松竹梅があります。松、竹、梅は寒さのきびしい冬でもりっぱに育つことから、おめでたいものとされています。

 そのなかで、竹は、成長が早く、高くまっすぐに伸びることから、縁起が良いとされています。竹と同じ仲間に笹があります。

 

 厨房では笹のほうがなじみがあります。笹には防腐作用があるので、昔から食品を包む材料として使用されてきました。

 包むだけでなく、彩りとして、器に敷いたりもします。笹の深い緑色は、どんな器であってもよく映えます。とくにいまの季節には、涼しさを感じさせるアイテムとしても重用されています。

 

 器のなかにあっても、この笹は食べることはできません。しかしながら、パンダなら食べられるのかも、と思ってしまいます。パンダが食べるのは基本的に竹ですが、笹も食べるそうです。よくこんなかたい葉を食べているな、と思いますが、パンダも好んで竹を食べているのかはわかりません。

 

 パンダは見た目どおり、クマにちかい動物なので、本来は肉食なのです。しかしいまでは竹しか食べない、完全な草食動物になっています。パンダが竹を食べるようになったのは、生存競争のなかで生息場所がかわったいったからです。

 

 パンダが暮らすのは標高4000メートルにもなる高地で、そこには丈のみじかい竹しかありません。もとは肉食とはいえ、ほかの動物もいないので狩りをすることもできないのです。それで仕方なく竹を食べているのではないかと、私は想像しています。

 肉食動物と草食動物では内臓の仕組みが異なります。パンダは肉食動物のままの内臓で、草食生活をしていることになります。

 

 竹や笹は漢方にも使われるので体には良さそうですが、生きていくためのカロリーはないと思います。パンダは一日のうち、10時間も食事の時間にあてるそうです。相手は竹ですから、ひたすら食べていないと栄養分が確保できないのです。

 

 私は、パンダが竹を仕方なく食べていると思っていますが、竹を主食にすることのメリットもあります。それは冬になっても枯れないことと、競争相手がいないことです。竹や笹を食べるのは昆虫くらいしかいないので、パンダでも勝てそうです。

 冬に枯れない竹は、一年中あることになりますから、食料がなくなる心配をする必要がありません。いつでも目の前に新鮮な食料があるというのは、生物にとっては夢のような話です。