大都市の卸売市場では、野菜や果物を300種類以上取り扱っているそうです。品種改良によって、新しい品種ができるとその分増えていくのですから、もっと多くなっていくのかもしれません。

 多くの野菜があるなか、世界一美しいといわれる野菜があります。それはカリフラワーの仲間であるロマネスコです。ロマネスコが美しいといわれる理由は、フラクタル構造という不思議な形をしているからです。

 

 カリフラワーは白くて丸い花蕾ですが、ロマネスコの花蕾は緑色で円錐形をしています。形だけみると、野菜というよりはサザエなどの貝類のようです。

 構造はカリフラワーやブロッコリーと同じなので、房で切り分け、ひと口大にし、ゆでたり、炒めたりします。カリフラワー、ブロッコリーのようにサラダに入れたり、肉料理、魚料理の付け合わせとして使用します。

 

 味はクセがなく、どちらかというとブロッコリーにちかいと思います。コリコリした歯ごたえがあり、加熱しても緑色が残っているのもいいところです。しかしながら、ロマネスコの魅力は、見た目の形であり、味は関係ないのかもしれません。

 

 ロマネスコの花蕾はひとつひとつが円錐形になっていて、それが集まって、同じような円錐形の房をつくっています。ですから、トンガリがいくつもくっついている感じです。この円錐形の花蕾はらせん状についています。

 小さい円錐形の花蕾がいくつも連なり、全体的な形も円錐形になっています。どの部分を切り取っても同じ形で、全体の形も同じになることをフラクタル構造といいます。

 

 カリフラワーの花蕾もフラクタル構造です。真っ白で丸っぽいので気がつかないのですが、丸い房がらせん状に連なり、一部分と全体の形が同じになっているのです。ほかの植物では、シダの葉がフラクタル構造になっています。

 

 ロマネスコは新しい品種ではなく、イタリアなどでは昔からあるそうです。カリフラワーやブロッコリーのほうが新しく、ロマネスコがもとからあった野菜なのです。

 フラクタル構造は自然界にもあり、雲や雷、雪の結晶などがあります。ロマネスコは改良されてフラクタル構造になったのではなく、しぜんの状態でフラクタル構造です。自然の力のすごさを感じられるのがロマネスコだと思います。

 

 自然がつくった造形なので、美しい野菜といわれるのも納得です。ただ、私は『つぶつぶ』を見るのが苦手なので、あまり間近でロマネスコをみたいとは思いません。50センチくらい離れて見ると、「あ、キレイかも」と思う程度です。