先日、バラの花が散る瞬間を目撃しました。通勤途中だったのですが、目の前でなにかがボロボロっと落ちていくのが見えました。

 そのあたりには数種類のバラが植えられていて、ちょうど咲いているときです。場所や高さから考えると、バラの花が散ったのだと思いました。そのままバラのところまでいってみると、木の下に花びらが散らばっていました。

 

 どんな花でも最後は散るわけで、バラの花にも散るときはあります。花は、サクラのようにサラサラと、風に吹かれて散っていくものだと思っていたのですが、花によってちがいがあるのです。

 サクラの散る風景は、風情があり、咲いているときよりも美しいと感じることもあります。それにくらべると、バラの花の散り方は刹那的すぎて、ショッキングですらあります。

 

 「散る」というよりは「崩壊する」といったほうが合っている気がします。花びらが一片ずつ散るのではなく、一気にドドドっと崩れ落ちてしまうのです。風情もなにもなく、何が起こったの?という感じです。

 いままで形を維持していたバラの花が、一瞬で壊れてしまうのはなんとなくイメージができます。というのは、料理にもバラの花を使うことがあるからです。1、2センチくらいの食用のミニバラというのがあり、サラダやデザートの飾りとして使用します。

 

 ミニバラはひとつずつ使うこともありますが、花びらを一枚一枚ちぎって、飾りにすることもできます。

 花びら一枚の大きさは、小指の爪くらいですが、色があざやかなので、とても目立ちます。料理の中に色あいとして加えるのであれば、一枚ずつの花びらだけでも十分かもしれません。

 

 ミニバラの花びらを外側から一枚ずつちぎっていくと、あるところで花の形が壊れてしまうことがあります。そのときは、花びらが何枚かだけとれるのではなく、全部の花びらがとれてしまうのです。

 花びらがガクの部分についていると保存期間が長くなりますが、花びらがとれてしまうと、すぐにしおれてしまうので保存がしにくくなります。ですから、使いきれないときは花の形のまま残しておきたいと思うのですが、ちぎり方がわるいと花びらだけになってしまい、「失敗したー」となるわけです。

 

 このミニバラは、愛知県豊橋市でのみ作られているそうで、ある意味貴重なバラだといえます。昔から、とくに気にせず使っていたのでどこにでもあるものだと思っていたのですが、そうではなかったようです。

 一地域から全国に、均一な品質のものを安定的に出荷できるのはすごいことで、もしかしたら、日本でいちばん多く生産されている(出荷されている)バラかもしれないと思ったのでした。ちなみに愛知県は、花きとしてのバラの出荷量が全国第一位のバラ王国です。