お酒をのんでいるときは、ほかの人には負けたくない気持ちが沸いてきます。酒に強いことが男らしいことのように思うところが私のなかにあるからです。そんな考えは前時代的で、意味のない妄想だとわかっていても、お酒をのんでいるときには忘れてしまっているのです。

 

 若いときにはとくにその思いが強く、競うようにのむこともありました。アルコールに弱く、お酒がまったくのめないのであれば、最初から勝負をしようと考えないのでしょうが、それなりにのめてしまうので困ります。

 相手もこちらがのめる人だとわかっていると、煽ってくるので、「負けられない!」とグラスを手にしてしまいます。

 

 お酒をのんでいるときは『バカ』になった人が勝ちで、それが楽しいところでもあります。ふだんの生活でバカだったら生きていけませんが、居酒屋でバカになるのは許されてもいいと思うのです(もちろん、警察のお世話になるのはNGです)。

 

 お酒をのんでいるときは楽しくて、つい調子に乗ってしまいます。そして、そのときの報いはかならず訪れます。お酒をのみ過ぎた日の次の日(実際は数時間後)にやってくる苦行が二日酔いです。

 二日酔いのつらいところは、「すべて自分が悪い」と理解していることです。自分で自分を追い込んだ結果ですから、自分自身で耐え、対処しなくてはならないのです。

 

 二日酔いの対処としましては、とにかく水を飲んで排尿を促し、アルコール成分を外に出すことです。アルコールを分解するために体内の水分が使われているので、水を飲むことは水分補給の役割もします。スポーツドリンクだと両方の役割に都合がよく、効果的だといえます。

 

 緑茶を飲むのも効果があります。お茶の成分であるタンニンがビタミンB1を多く含んでいるからです。二日酔いに有効なのはビタミン類で、ビタミンB1は疲労回復の役割をします。

 タンニンを多く含む食品に柿があります。柿も二日酔いの回復には効果があるので、秋には押さえておきたい食材だといえます。

 

 ビタミンB2は細胞の再生や代謝に関わるので、胃や肝臓の働きを助けてくれます。ビタミンB2を多く含む食材には、乳製品や卵があります。ヨーグルトはさっぱりしていて食べやすいので、気持ちがわるい朝でも口にすることができます。

 乳製品や卵は、お酒をのんでいるときに食べるものとしてもいい食材でもあります。ワインにはチーズを合わせますが、二日酔い防止の意味もあるのかもしれません。

 

 お酒をのんだあとにフルーツを食べるのも効果があります。フルーツに含まれる果糖がアルコールを分解するのに役立つからです。果汁100パーセントのオレンジジュースでもいいと思います。

 二日酔いにならないほうがいいのは当然ですが、二日酔いを気にしていたら場が盛り上がらなくなります。そのへんのバランスがうまくとれればいいのですが、いちいち考えながらのんでいるのは野暮というものです。