ナスはたくさんの種類があり、それぞれ特徴があります。近所のスーパーで、パッケージにくまモンが描かれているナスをみかけました。

 熊本県はナスの生産量が全国で2番目に多い県で、特産品になっています。くまモンのパッケージのナスには『肥後のでこなす』と書かれていました。

 

 九州のナスは長ナスが多く、でこなすも20センチくらいある長ナスです。サイズが大きいということは、それだけ量もとれることになります。一般的なナス(千両ナス)よりサイズが大きいうえに安いのですから、買わないわけにはいかないといえます。

 

 ナスは東南アジアが原産なので、暖かい気候を好みます。ナスの生産地をみても西日本のほうが多くなっています。九州地方で長ナスがとれるのも、ナスの生育環境に適しているからなのかもしれません。

 熊本には、でこなすよりもさらに長い、大長ナスもあります。私は実物を見たことはありませんが、長いものは60センチにもなるそうです。60センチもある野菜というと、ゴボウやナガイモ、ウドが思い浮かびます。これらと同じサイズのナスが生っているのは想像がつきません。

 

 ナスの形は長さに特化したものだけでなく、丸型になるものもあります。恥ずかしながら私は、米ナスと丸ナスは同じものだと思っていました。ナスは、細長いものと、丸型にちかいもののふたつに分かれるのだと勝手に思い込んでいたのです。

 しかし、ナスはそれほどかんたんなものではなく、多様な品種があるのです。ナスという点ではどれも同じだといえますが、食材として考えると、それぞれべつなものだということです。

 

 米ナスは、一般的なナス(千両ナス)を二回り大きくしたような形で、楕円形にちかいです。丸ナスはほんとうに丸型で、野球ボールくらいのサイズ感です。米ナスと丸ナスは、形のほかにも、ヘタの色にちがいがあります。

 米ナスのヘタはうすい緑色ですが、丸ナスは濃い紫色をしています。古くから日本にあるナスは、丸ナスと同じくヘタが紫色です。

 

 丸ナスは伝統野菜としてあつかわれ、各地で独自の商品名で販売されています。有名なのは京都の賀茂ナスです。

 米ナスは外国産のナスが日本に持ち込まれ、改良されたナスです。アメリカのブラックビューティーという品種がもとになっています。

 

 アメリカ発祥のナスなので『米』の字がついています。米ナスの『米』は、米国、アメリカを指しているのです。名前に漢字が使われているので、昔から日本にあるナスかと思っていました。米国産のナスだから米ナスだったとは、思いつきませんでした。