イベントなどで、お客様の目の前で調理をするときがあります。調理する姿が見えることで、ライブ感を演出し、お客様に出来たての料理を召し上がっていただくことができます。

 会場で調理といいますが、会場のなかに調理場はありません。そのときは、厨房から調理器具をもっていって、調理できる環境をつくるところからはじめます。

 

 刺身を引いたり、ローストビーフをカットするような場合は、まな板と盛りつけをするスペースがあればいいだけです。刺身であれば、すし屋にあるようなネタケースがあれば、保存がしやすくなるのでいいと思います。

 火を使った調理をするときは、もうすこし大がかりな準備が必要です。ガスコンロとガスボンベを設置するのでと、換気の問題がでてくるからです。

 

 大きな会場であれば気にしなくてもいいですが、20人くらいでいっぱいになるような会場では換気ができるようでないといけません。そういう会場では火を使うことが想定されていないこともあります。火を使うことで、火災報知器が反応してしまうこともあり、いろいろと考慮しなければならないといえます。

 

 ガスコンロは30センチくらいの鋳型のコンロを使います。十分な重さがあり、五徳も頑丈なので、炒め物をしてもてんぷらを揚げても厨房と変わりなく作業することができます。

 ただ、最近このガスコンロが新しいものになり、事情がすこし変わってきました。新しいガスコンロは、火口がいままでのものとちがうからです。

 

 ガスコンロというと、小さい火がでる火口が、円形に連なるようになっているのが一般的だと思います。青い炎が円状にでることで、鍋底全体を熱しているのです。

 新しいガスコンロは、この火口の形状がちがうのです。ガスが通る管は円状なのですが、そこに火口はないのです。円状のガス管が底になっていて、そこから垂直に火口がついた管が伸びています。

 垂直の管は8~9本くらいあり、その先端から火が四方にでるようになっています。火がついているところが、バオバブの木が何本も立っているような感じに見え、私には違和感があります。

 

 管が全体にまんべんなく配置されているので、全体を熱することができるのは、一般的なガスコンロと変わりません。ただ、このタイプは、微妙な火加減の調整ができない気がします。強火と弱火の両極端で、その間の加減の幅がないのです。

 このような火口は、中華料理の厨房のガス台と同じだと思います。中華料理なら強火であればいいので問題ないのかもしれません。

 しかし、肉を焼いたり、てんぷらを揚げたりするときは、火加減が重要だったりします。火加減の操作性の点で、このタイプのガスコンロは不便な印象をうけます。

 

 この火口にどんな意味があるのだろうと思い、メーカーのHPをみてみました。くわしいことはわかりませんでしたが、このガス管が垂直になっているタイプは、ガスコンロの項目ではなく、バーナーの項目にあり、区別されていました。ということは、メーカー側も、一般的なガスコンロとはべつなものだと考えているのかもしれません。

 私としましては、ふつうの円状に炎がでるガスコンロのほうが使い勝手がいいと思っています。なんとかして、以前と同じガスコンロにもどせないかと考えているところです。