台九百七十七話 | 台所放浪記

台所放浪記

料理とか随想とか

集合住宅の立体駐車場から出ようとして、ゲートが降りるのを

待っていたら、上の階のベランダで咳き込む音が。他者を意識

したような咳払いではなくて、自然なゴホゴホという感じの咳。

それで上の方、つまり自分の住んでいる集合住宅のベランダ部分

を下から眺め上げてみたんですね。普段なかなか見ない眺めで、

ベランダで観葉植物を育てている人が多く、意外な事に緑が

多かったです。けっこう大きな木がちらほらあって、自分も

ベランダでだんだん大きくなっていくガジュマルの鉢植えに

ついて、引っ越す時は植木屋さんの世話にならざるを得ない

かなあと心配していたんですけど、それどころではない大きさに

育っている木々を眺めて、安心というのは変な表現ですが、

自分の家だけではないんだなあと妙に納得した次第です。

 

他に目に留まったのは、手すりではなく壁によって転落防止の

措置が取られている建物なんですけど、その壁と上階の

ベランダの下端の間にパーティションを設置している家庭が、

2階から6階ぐらいにかけてけっこうありました。これは元から

ある設備ではなく後から増設された目隠しで、どこからの視線を

意識してそうしているかと考えると、例のヤンキーゴーホームと

書かれていた道路向かいの見張り棟のような胡散臭い物件だと

思われます。

 

最近は大勢集まって深夜まで騒いでいるという事は少なくなり

ましたが、依然としてワンルーム×5階建ての最上階の玄関ドア

はずっと開けっ放しで、部屋の中には大きな投光器が朝から

晩まで灯っています。カメラか何か回ってるんじゃないの?

というのは、自分以外にもそう感じている人が多くて、目隠しの

増設につながっているような気がします。要するに気味の悪い

建物が向かいにあると。日中の登頂失敗もですけど、色々と麻痺

しちゃってるんだろうなあと。そんな事にどれだけ必死になった

としても、自分には還元されないというのが、小生の見解です。