「くらいよー、せまいよー、こわいよー」というのは、
漫画【うる星やつら】の登場人物・面倒終太郎の台詞で、
閉所と暗所の恐怖症であるものの、女性と一緒にいる時だけは
大丈夫という設定になっていました。
誰しも恐怖症のようなものがあると思いますが、自分の場合は
暗所、これは大人になってからは怖くなくなりました、
と高所恐怖症で、高所の方は今でも苦手です。先日放送の
【ダーウィンが来た!】で、ハヤブサの狩りの模様をNYの
高層ビルから撮影した映像を見ていたら、両腕に鳥肌が立って、
足は両ももの外側がじんわりと冷えるような感覚のすくみを
覚えたので、あ、こっちはやっぱり治ってないわと。怖かった。
童話で暗所が苦手なのは【モチモチの木】の主人公の豆太君
ですが、史実では2・26事件の理論的指導者として死刑になった
北一輝(1883-1937)も暗所恐怖症で、夜中に起きて厠へ行く際
に、夫人に付いてきてもらわないと行けなかったという話を、
本当か嘘か不明ですが、何かの本で読んだ事があります。
この逸話が、面倒終太郎の設定の下敷きになっている可能性も
ありますね。
【モチモチの木】の作者は斎藤隆介(1917-1985)で、この人の
【ベロ出しチョンマ】という童話を、小学生の時に読んで
悲しかったのですが、大人になってから、これは作者が創作した
話だと知って、とても嫌な気分になりました。主人公のチョンマ
(長松の音訛)が、父の直訴に連座して、母や幼い妹と共に磔刑に
される際に、怖がる妹を笑わせようとしたという内容ですが、
大人になってから読むと、これは読者の子どもに長松の優しさを
伝える話というよりは、国のような権力への無意識の反感を
植え付けようとする意図のある物語だという気がします。
本当にあった事実を歴史として語り継ぐというのならともかく、
作り話までしてそんな。こういう作り話で子どもを騙して
自己都合で誘導しようとする大人になってはいけませんという
例として、後代にきちんと伝えていきたいと思います。