犬が飼いたいと言う嫁に押され冷やかし半分、旅行気分半分で行った静岡のブリーダーさんの所だった。
今から考えると失礼な話である

犬舎には3頭の少し大きくなった子犬がいて大地はその長男。
少し気が弱そうで、でも芯は強そうで骨太な一番大きな体が印象的だった。
大地を見るまでは、まだ転居してひと月、犬を飼うとしても来年の夏以降を考えていたから早めに体よく断って、嫁のガス抜きになればいい位に思っていた。
飼うかやめるかの判断は夫婦で話し合って一週間後に連絡するということで、家に帰った。
それからの一週間、本当に自分たちが犬を幸せにしてあげられるのか、留守番はさせられるのか、犬に振り回されて自分達が潰れないか、飼うなら狭い家のどこにケージを置くのか…夫婦で真剣に話し合った。
不思議な事に、話せば話す程に嫁は不安から消極的思考になり、俺は考えられる不安要素はあの子であれば乗り越えられるだろうと思うようになっていた。
ただ、嫁の両親は犬を飼う事には反対

俺も義母からそれなりに納得が出来る理由を聞いていたので、判断は慎重に考えていた。
それでも飼うに至ったのは、忘れようにも忘れられない大地の表情と、控えめに舐められた指先の感覚。
当時6カ月の月齢、パピーとしての可愛さは一段落し、ブリーダーさんのもとしつけもそれなりになされていて、体もしっかりしていて性格も大人しい。
嫁の両親の懸念もこの子となら解決にむけて一緒に歩んでいってくれるだろう。
この子を逃したくない。
最後は自分の直感を信じて飼うことを決めた。
この時、周りの意見に流されてやめていたらきっと後悔していたと思う。
しかし、問題はまだまだあった。
新居をまだお互いの両親に見せていなかったため、近く呼ぶことになっていたのだ。
飼うことを決めてすぐに、義母には報告していたが、返事は「考え直してくれ」だつた。

夫婦で決めた事なんで、許可を貰いたかった訳ではないし、再考の余地もないんだが、招待した場に反対されていた犬がいるのも気まずい…
結果、大地を迎えるのは両親を招待する翌週の12月1日に決まった。
それまでにケージ、食器、その他諸々…準備し、両親が来る日まで部屋の奥底に隠し、両親が帰った後、模様替えしてケージを設置からのケージにはチャロのぬいぐるみを置き大地を迎える日を心待ちにした。
