2016年は読みにくい、難しい年になりそうです。


 読みにくいリスク要因としては、原油価格動向とそれに
伴う新興国経済・マーケット動向、米国の利上げペースと
ドル相場動向、シナ経済の減速に伴う人民元の下落などが
考えられます。地政学的リスクは16年も引き続き、猛威
を振るいそうです。


 原油価格については、底割れし20ドルに向かうのか、
30ドル台半ばで踏みとどまるのかという分水嶺にあると
思います。20ドル台まで突っ込む場面があると世界的リ
スクオフを引き起こすことになります。私の予想としては、
少なくても一度は20ドル台に突っ込み、そこから緩やか
に40から50ドル近くまで戻す展開となると考えています。

 米国の利上げのペースは、16年は4回25bpづつの


利上げになるとのマーケットコンセンサスですが、大きな
ショックがあり、米経済が落ち込むことがあると、一転利
下げなどというリスクもあります。その場合はドル安とな
り、米国株式には良い影響を与えるとは思いますが、日本
株式は円高により厳しい局面となるでしょう。とはいえ、
メインシナリオとしては、年2~3回の利上げと回数、利
上げ幅が減る程度になると思っています。


 シナ経済の減速が顕著になる中、なりふり構わぬ金融緩
和、財政出動を行っていますが、経済減速を止めることは
できず、シナ元下落を容認していくと思われます。緩やか
な下落はシナ当局も容認すると思われますが、歯止めが効
かなくなるリスクもあります。


 こうしたリスク要因がある中、2016年のテーマは、
日米欧の金融政策当局のオペレーション、原油価格動向と
新興国経済・マーケットへの影響といったところで、15
年と同様の材料となります。トピックスとしては、7月の
参院選と11月の大統領選があります。


 米国経済は、3%弱程度の巡航速度の成長を維持できる
と思われます。ドル高の影響により企業業績が抑えられる
部分もあると思われますが、下方向のリスクは限定的と考
えられます。16年は株高となり、資産効果も発揮され、
雇用も好調なことも相俟って個人消費が活発になることが
期待されます。大統領選の年ではありますが、その前年が
振るいませんでしたので、株価の上昇は期待できるのでは
ないかと考えています。原油価格が反転したタイミングで
エネルギー株が反発し、株高に弾みをつけるのではないで
しょうか。


 欧州経済は、低空飛行が続くと思われます。デフレ脱却
は難しく、追加金融緩和が実施され、一段のユーロ安に向
かうでしょう。しかし、ユーロ安効果から、年後半には景
気は若干持ち直してくると予想します。波乱要因としては、
移民問題とテロでしょうか。


 中国経済は減速傾向が続くものと見られ、成長率は当局
のなりふり構わない財政政策、金融緩和により6.5%程
度までは落ちてくると思われます。人民元は緩やかに下落
していくでしょう。


 日本経済も低成長が続くと見られます。アベノミクスで
は結局金融緩和頼みになっており、成長戦略ははかばかし
い成果は見られません。参院選を前に景気対策を打ち出す
とは思いますが、株価対策にしかならず、実体経済に影響
を与えられないでしょう。景気対策に合わせて追加金融緩
和の可能性はありますが、あったとしても円安が若干進み、
輸出企業の株価に好影響を与えるのみか。17年4月の消
費増税もあり、賃金上昇もあまり期待できないことから個
人消費も厳しい状況が続くでしょう。株価は、円高に振れ
る局面で大きな調整のリスクがありますが、米国株高や景
気対策などで年央には高値を付けるでしょう。


 新興国経済は厳しい状況が続くでしょう。ただ、東南ア
ジア諸国は減速気味ではありますが、そこそこの成長を続
けるでしょう。インドネシア、マレーシアなどは資源国に
も拘わらず、15年も5%弱の成長を維持しており16年
は更に経済は持ち直すでしょう。フィリピン、ベトナムは
成長を加速させるでしょう。インド、タイ、シンガポール
は漸進的に成長を続けるでしょう。一方、ブラジルロシア、
トルコなどは厳しい状況がまだまだ続くと思われます。米
利上げによりドル高が続くこと、原油安により新興国から
資金流出の懸念があることから、経済が好調な国も不調な
国も、通貨安傾向が続くと思われます。大きなショック安
となる局面も発生すると考えられます。


 さて、2016年は「覇権国株式10年サイクル」にお
いて大きく上昇する年となっています。リスク要因も多々
ありますが、米国株式は上昇率が高くなり、それを受け日
本株式もそこそこは上昇すると思われます。欧州株式もユ
ーロ安から上伸するでしょう。ただし、新興国株式は厳し
いものの、インドネシア、マレーシア、ベトナム、インド
株式は上昇が期待できるのではないでしょうか。