ここまで主治医の説明を聞いてきましたが、一夜漬けで得た予備知識は以下の通り。
① 2016年に抗MDA5抗体を測定するELISA法が保険承認され、以後,早期診断が可能となった。
② 抗MDA5抗体患者はアジア人において、高率に予後不良の急速進行性間質性肺炎を併発する。症例数が少ないためか、高率の割合は開きがある模様(50%〜90%?)
③ 抗MDA5抗体陽性例には早期から三剤併用治療を行うことにより、救命率があがることが示唆されている。とりわけ三剤目のエンドキサンがキードラッグ。
ここから質問タイム。
Q:スイッチが入ってないということは、これから入る可能性はあるのか?それとも私の場合、慢性化の病態なのか?
A:最近では慢性化の症例もでてきたが、どちらのパターンもありえる。経過を見ながらの判断となる。
Q:スイッチが入る可能性があるなら、最初から三剤を使うというオプションもあるのではないか?スイッチが入ってからエンドキサンを使って間に合うのか?
A:難しい選択ではある。感染症のリスクを考えると最初から三剤はやりすぎ、という認識。医者によっても考えは分かれる可能性はあるので、来週もう一度全体会議で議論する予定。
Q:急性化の兆候はどのようにモニターするのか。
A:胸部レントゲン、フェリチン、KL-6、LDHなど。
Q:皮膚症状と病勢は関係するのか?私の場合、皮膚症状は軽い方か?
A:発症時の病勢を反映すると考えられる。皮膚症状は比較的軽い方。それぞれ単独では初見で分からない程度のものもある。
Q:二剤の効果はどのくらいで出るものか?CT画像がメインになるのか、抗体値の低下も必要になるのか?
A:3日間のステロイドパルスから開始して、その後ステロイドとタクロリムスを併用。2週間後にCT画像で改善できれば初期治療としては良好。最終的には抗体値の低下も確認したい。
Q:2週間後に悪化も改善もしてない場合は?
A:その場合は本当に悩ましいところ。エンドキサンの使用も視野に入れることになる。
時間は既に2時間近く。症例数もエビデンスも乏しいなか、エンドキサン使用についての断定的な意見を引き出すことはできず。最後は姉が娘の咽頭炎入院の話を始めたところで、すかさず静止先生さっきから携帯鳴りっぱなしなんだから、空気を読んで欲しいところ…
エンドキサンのオプションを残しつつ、早々にステロイドパルスを始めたい意向を伝えて終了。判断を間違えた時の代償が大きいだけに、キードラッグと言われるエンドキサンを使わない不安はなかなか消えず、再びリサーチを開始。