うっすら記憶していたネット情報。抗MDA5抗体という類型名もはっきりとは覚えておらず、頭に浮かんでくるのは予後不良の文字。

 

血液検査、胸部レントゲン、CT、肺活量テスト、動脈採血、6分間歩行テスト、と一通り検査は終了し、改めてネット情報を読みあさりました。私の皮膚症状の発症はこの冬あたり、間質性肺炎の発症時期は特定できないものの、同じくらいと仮定した場合、自分の感覚としては急速に進行している実感はありませんでした。

 

夕方くらいでしょうか、若手主治医、その上司先生、外来で初診して頂いた先生も含め、総勢3名の先生方が病室を訪問。重苦しい雰囲気のなか、上司先生が切り出しました。「あなたの皮膚筋炎は抗MDA5抗体といわれる型です。既にご存知のようですが、この型は高い確率で急速進行性の間質性肺炎を併発しやすく、一度スイッチが入るとかなり厳しい戦いになります。最近では初期から強力な三剤併用治療によって救命率は上がっていますが、それでも救えないケースがあります…。」

 

「今日のCT画像を見る限り、今のところは間質性肺炎の急速化の徴候はありません。有用な予後因子と言われているフェリチンの値や、その他検査も基準値内。つまり、スイッチが入る前の状態です。抗体値と間質性肺炎以外に悪いデータがないので、二剤併用治療でのスタートを考えています。もちろん、治療中少しでも悪いデータが出てきたら、ためらわず三剤目のエンドキサンを被せます。ご両親にも一度来ていただいた方がいいでしょう。」

 

この時点である程度想定していたものの、やはりショックは大きく、それでも何とか頭を動かして考えました。まず、切った貼ったの手術ではないので、スーパードクターを探すことは無意味。ステロイドと免疫抑制剤の使用は免れないので、副作用を怖がる状況でもない。基本的には薬剤の種類、量、投入タイミングがキーでそのあたりは大学病院間で大きなスタンスの違いはないはず。何よりもワンコさんを山梨に連れて帰ってもらったばかりで両親を呼び戻す段取りを考える余裕がない。そんなことより早く治療を開始したい…!

 

思わずでた言葉が、どうしても両親呼ばないとダメですか?呼んだところで治療の選択肢は限られているので、判断に影響はしないと思うんですよね…。困り顔の先生方。40歳過ぎて経済的に自立しているのに、もしや信用されてない⁉︎まぁ、そういう問題ではないのでしょうけど。とりあえず翌日都内在住の姉に治療説明に同席してもらうことで、納得して頂きました。

 

この病気はまだまだ症例数が少なく、また重症例の報告ばかりが目立ちます。実際には少しづつ前提条件も異なり、個体差もあり、きっと潜在的な患者さんも少なからずいるはずです。次回、入院時の検査結果について、もう少し詳しく書きたいと思います。