純は、学校を出て帰り道を歩いていた。
「明日また、蒼太くんに謝ろう……」
「お~い、純」
すると呼ばれる声がしたので振り向くと、後ろから隼人が走ってきた。
「隼人くん。どうしたの?」
「なぁ、ちょっと付き合ってくんねぇか」
「?」
純は、隼人に連れて行かれるがままに、付いて行った。
「ここだよ」
「ゲーセン?」
隼人が立ち止まって指をさしたのは、学校の近くにあるゲームセンターだった。
「そう。蒼太のやつ、今日も練習だ~って言って帰ったからさ。ちょっとぐらいいいだろ?頼むよ」
隼人は両手を合わせて、頼む素振りをした。
「いいけど……」
「よし!!実は、俺やってみたいやつが、あるんだよなぁ」
「これって……」
隼人がやりたいと言ってきたのは、画面に映し出される振付けに合わせて体を動かして、機械に付いているカメラで動きを認証して、プレイしていくダンスゲームだった。
「お、もしかして知ってる?一人じゃ、恥ずかしくてさぁ」
「でも、僕、体動かすの苦手だし……」
純はうつむきながら答えた。
「大丈夫だって。昔から、リズムに合わせてボタン押すゲームとか、得意だっただろ?ボタンが、体に変わったぐらいに思えば、いいんだよ」
「わかった……」
隼人にそう言われると、純はしぶしぶゲーム機の前に立った。
「じゃあ、始めるぞ。……おっ、意外と難しいなぁ。こうか!!ほっ、ほっ、っと」
隼人は画面に合わせて体を動かしていく。その隣で純も体を動かしている。そして、曲が終わると、評価が出てきた。
「いや~俺、評価B。なんだ純、評価Aじゃん。すげ~」
「そんなことないよ」
少し照れながら、純は答えた。
「いやいや、初めてでこれだけできるって。やっぱセンスあるよ」
「ゲームだしね」
「……やっぱ、純も蒼太たちといっしょに、ダンスしたほうがいいと思うぞ」
「え?」
突然の隼人の言葉に、純は驚いた様子だった。
「おまえ、気づいてないかもしれないけど、ゲームしてる時、すごい楽しそうだったぞ」
「……」
「ダンス好きなんだろ?」
「……好きだけじゃあどうしようもないよ」
純は小さくつぶやいた。
「そうか?俺は好きなだけで、十分だと思うけどな」
「……ごめん、僕、勉強あるから」
隼人にそう告げると、純はカバンを持って、行ってしまった。
「そうか、俺もう少しここにいるわ。じゃあな!!」
隼人は、去っていく純の背中に向かって叫ぶと、また体を機械に向き直した。
「さて、もう一曲やって帰りますか。ほっ、ほっ、っと……まあ、こんなもんかな」
そう言うと、隼人もカバンを持って、ゲームセンターを後にした。
しばらくして、後ろで隼人を見ていた二人組の女子高生が、機械の画面を見て話をしていた。
「ねえ、さっきの人見た?」
「うん、最高難易度で評価AAA出してたよねぇ……」